
可換環の定義〈龍孫江の環論道具箱〉
可換環というのは,龍孫江がずっと好きで学んで(学生時代にはちょっとだけ研究もして)きたものです.この環論道具箱では,主に可換環に絞って,その目的意識や道具立てを紹介していきたいと思います.
定義(環)
環(ring)とは下記なるものをいう:
器 集合 $${A \ne \emptyset}$$
機構 2つの2項演算 加法 $${+}$$,乗法 $${\cdot}$$,要素 $${0, 1 \in A}$$
(ただし,$${0 = 1}$$の可能性はありうる)公理系
加法・乗法はともに結合則をみたす
$${(a+b)+c = a+(b+c)}$$,$${(ab)c = a(bc)}$$$${0}$$は加法の,$${1}$$は乗法の単位元である
$${0+a = a = a + 0}$$,$${a \cdot 1 = a = 1 \cdot a}$$任意の要素は加法に関する逆元をもつ
$${a \in A}$$に対し,$${a+b = 0 = b+a}$$なる$${b \in A}$$が存在する加法は交換則をみたす
$${ a+b = b+a}$$分配則が成り立つ
$${a (b+c) = ab + ac}$$,$${(a+b) c = ac + bc}$$
ここから先は

龍孫江の環論道具箱
環論の初歩について,基本事項をまとめます.環論を学び始めた人,もう少し良く知りたい人におすすめです.月6回ほどの更新と,おまけテキストを載…
龍孫江の群論・環論道具箱
龍孫江の群論道具箱・環論道具箱の記事を同時に読める合冊版です.それぞれ購読するよりはお得な価格設定となっております!龍孫江へのご支援を兼ね…
Twitter数学系bot「可換環論bot」中の人。こちらでは数学テキスト集『数学日誌in note』と雑記帳『畏れながら申し上げます』の2本立てです。