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素数の定義について〈龍孫江の環論道具箱〉

 素因数分解の一般化を目指し,素数の一般化として素元を導入しました.今回は,この素元の定義を,しばしば見られる素数の定義と照らし合わせたいと思います.

https://youtu.be/pviZft67gv0

 今回の話を通して$${A}$$を整域とし,$${A}$$の非自明な($${A}$$全体ではない)単項イデアル全体を$${\operatorname{PI}~(A)}$$と表します.

 整域の要素$${x}$$の乗法的な挙動は,単項イデアル$${(x)}$$の集合としての挙動に言い換えられました.前回ボトルネックとなったのは,単項生成ではないイデアルが混ざると要素の整除関係に言い換えられなくなる点で,これを解消すべく単項イデアルだけの世界で話を転がすことにしたわけです.

定理(素数が生成するイデアルの極大性)

$${A}$$の素元$${p}$$に対し,$${(p)}$$は$${\operatorname{PI}~(A)}$$の(包含関係に関する)極大元である.□

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