GCDとLCM〈龍孫江の環論道具箱〉
素元分解を用いて,整域におけるいろいろな性質を書き直そうと試みています.前回は整除関係を捉え直しましたが,今回は最大公約数・最小公倍数を拡張します.
整除関係が導く前順序
整域$${A}$$において,$${A \setminus 0}$$の関係$${\le}$$を
$${x \le y \iff A}$$内で$${x}$$は$${y}$$を整除する
と定めると前順序,すなわち反射律と推移律をみたすことがわかります.もしこの$${\le}$$が反対称律
$${x \le y}$$かつ$${y \le x}$$のとき$${x = y}$$
もみたせば順序になって万々歳なのですが,どうしても単元倍の誤差が避けがたく残ってしまいます.ただ,単元倍の誤差を解消する方法は既に知っていて,それが「イデアル」です.
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