アベノミクスを振り返る
これまでいろいろと勉強したことを元に、アベノミクスと日本の経済政策を振り返ってみる。
プライマリーバランスの達成と緊縮財政の実行
ここに関してはこれまでずっと書いてきた。最も重要で根本的な問題だ。 プライマリーバランスの達成と緊縮財政の実行は、国民の生活を破壊する悪魔の目標である。
もともと安倍内閣は財政出動と成長戦略を掲げており、そこに期待する人は多かったはずだ。それが「日本の借金増大」という声によりトーンダウンしてしまったのは非常に残念なことである。
ただ、ここに関しては安倍内閣でなければもっと極端な緊縮財政策が取られてしまっており、国民生活はもっと破綻していたかもしれない、と思わないでもない。
消費税の10%増税
これまで勉強したことを元に判断すれば、アベノミクスの掲げるインフレ率2%の達成と量的質的金融緩和は決して間違った政策ではなく、私は非常に評価している。しかし、その政策をぶち壊しにした消費税10%増税はデフレを進行させた大失策だ。
労働力不足解消のための移民促進
現在の国内の課題はデフレにもかかわらず、さらに安い労働力を海外から連れてくるというのはとんでもなく悪手だ(ちなみに私はグローバリズムそのものに反対しているわけではないので悪しからず)。データが示す通り、日本では正社員の非正規雇用への置き換えが進んでいるが、さらに価格競争を加熱させ賃金を低下させようというのはいったいどういうつもりなのか?幸いなことにまだ本格運用になっていないが、方針としてはありえないだろう。
円安、株高の推進
円安、株高はアベノミクスの初期から成果を上げた。ところが、消費税の増税もありまったくトリクルダウンが進んでいない。
(トリクルダウンとは。大企業や高所得者が富むような経済政策を実施すれば、投資や消費が活発になり、より広い層にも恩恵が及ぶとする考え方)
結局、大企業の利益は増えたが賃金の上昇に波及せず、消費も増えていない。ただ格差の増大を招くことになった。経営者おめでとう。
ちなみに株価が上がっているにもかかわず、賃金が上昇していないという状況は、日本の労働者から搾取して外国人投資家に配当を渡しているということでありいろんな意味で最悪である。
メディアはなぜ総括しないのか?
コロナウイルスの最中、という事情はあるだろうが、安倍総理が退任した後に、メディアがまったく総括を行わないのはなぜだろう。菅総理からもこれから経済政策をどうするのか、という方針は何も発表されていない。携帯料金などのミクロの話だけが、ことさらに取り上げられている。特にプライマリーバランスの達成目標は早めに撤回しないと、国民生活を破綻に追い込みかねない。