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『職業遍歴』#29-3 カタログ編集の仕事をギックリ腰で辞めた話

筆者が過去に経験した「履歴書には書けない仕事(バイト含む)」を振り返るシリーズ第29弾。今回は、ライフスタイル系のカタログの編集をやっていたころのお話です。

29. カタログの編集

ライフスタイル系カタログ編集の派遣の仕事を始めた話をこちらに書きました。↓

仕事をどんどん任されて過重労働になってしまい、チームリーダーに調整をお願いしたもののかなわず、それが原因でかギックリ腰になってしまった話をこちらに書きました。↓

私はもともと腰痛持ちで、ギックリ腰の経験も何度かあったのですが、このときのギックリ腰は本当にひどかったです。

最初の5日間ほどは動くことができず、ほぼ寝たきり状態でした。トイレに行くにも床を這うようにして行っていました。食事の用意などもできませんから、当時の恋人が毎日のように来てくれて食事の世話などをしてくれていました。

一週間がすぎるとなんとか動くことはできるようにはなりましたが、それでもずっと立っていたり歩くことは困難で、結局会社は二週間ほどお休みをいただきました。

二週間がすぎてもまだ「回復」といえる状態ではなかったのですが、いつまでも休んでいるわけにもいかず、復帰しました。

会社の人たちはみんな心配してくれていました。この会社の人間関係はよかったです。私が休んでいた間は、私の担当ページはチームリーダー自ら回してくれていたそうです。私は申し訳なく思いました。

まだ体調は万全ではないと伝えていたにも関わらず、復帰するとまた大量の仕事が押し寄せてきました。私はまだ歩くのにも時間がかかり、長時間座っているのも難しい状態でしたが、なんとか仕事をこなして定時に帰りました。

二日間そんな感じで働き、すっかり疲労困憊してしまい、腰の状態も悪くなり、三日目は休んでしまいました。ギックリで休んでいる間業務の引き継ぎなどがあった関係で、チームリーダーとは携帯のショートメッセージでやりとりをしていました。チームリーダーに腰の調子がまだよくないので休ませてほしいとショートメッセージを送りました。すると返ってきたのは、こんなメッセージでした。

「文月さんの担当ページの原稿については明日作業いただけるということでよろしいですか?」

こちらの体調などお構いなしに、今日でなければ明日出社して原稿を上げろと言っているのです。

このメッセージを見た瞬間、なにかがプツンと切れました。

私はメッセージに返信はせず、かわりに派遣会社の営業にメールしました。過重労働になっており、それをチームリーダーに訴えたものの改善されなかったこと、それが原因でかギックリ腰を発症したこと、まだ体調が万全でないと伝えていたにも関わらず復帰後も大量の仕事が入ってきたことを訴えました。そして、この調子だと腰も悪化しそうだし過重労働でストレスが溜まっており、契約途中ではあるがもう辞めさせてもらいたい、と伝えました。

営業からはすぐに電話がかかってきて、私は詳しい状況を話しました。このときの営業はいい人でした。すぐ派遣先に連絡してくれ、私の事情を話してくれました。そして私はもうあの派遣先に行かなくていいことになりました。

急なことでしたので、派遣先にはポットやマグカップや歯ブラシやひざかけといった私物を置きっぱなしにしていました。それらの私物は営業が取りにいってくれ、郵送で送ってくれました。また、会社のセキュリティカードを返却する必要があり、それは郵送ではダメだということで、営業が私の最寄り駅まで来てくれ渡しました。最寄り駅の改札に営業の方が見えたときには、さすがの私も申し訳なく思いました。この営業さんにはご迷惑をおかけしてしまいました。

この会社の女性社員や派遣社員、業務委託の女性たちとはランチタイムなどによく話したりしていて、まあまあ仲良くはありましたが、連絡先の交換などはしていませんでした。このような形で急にいなくなった私のことを心配しているかもしれない、あるいは怒っているかもしれない、などといろいろ思いましたが、仕方がありません。

派遣社員は、ある日突然辞めます。仕事ができる人ほど、ある日ぷっつりと糸が切れたようになり、辞めていきます。なんの予告もありません。ただ来なくなるだけです。そのようにして派遣社員は、自らの身を守っているのです。




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