入院、眠れない夜
暗くなった廊下で立ち尽くして献立表をじっと見ているふりをして実はもう大分暗記してしまったそれは来週の日付までを指し示しているのでおのずと自らの来週を思い浮かべてみるのだがそれは先週とも今週とも変わり映えのしないもので定められた運命を呪うまでもなく退院の日は再来週なのであった
ナースステーションだけは煌々と白い光を放ち考えてみれば少しだけ夜道の中に建つコンビニに佇まいが似ていると思ったがやはりナースステーションはコンビニではないのであった
こんなとき電話をかけてよい誰か例えば友人の一人や二人を持っていればすくわれるかと訊かれたら断じてそれはないと言えるのであった
眠れない夜のことであった