インスタントラーメンが無言で伝える言葉とは?
教授はラーメンが好きである。
ふたりで二泊三日の旅行へ行った際、3日連続ラーメン屋へ行くほど大好物だ。
初めてのクリスマスも、山頂でインスタントラーメンを作ってくれた。
もっとオシャレなお店に行きたくない?
よく友人に聞かれる質問であるが、これは無口男子と付き合ったことがないから言えるセリフなのだ。
無口男子あるある。懐石料理屋の個室でふたり、無言で過ごすこの時間のいたたまれなさをわかっていただけるだろうか。
それに引き換え、ふたりの趣味である山登りやウォーキングは、基本会話が不要だ。
話題となるおもしろい景色も、向こうから飛び込んできてくれる。
山頂で食べるインスタントラーメンも、雄大な景色がごちそうだ。
オシャレなお店へ行っても、教授が楽しめないし、おいしいねーとか、キレイだねーとか、料理の感動を共有することもできない。
オシャレなお店には、女友だちと行くのが一番である。
さて、教授が愛するインスタントラーメンであるが、未来への伝言、タイムカプセルに一役買っているのをご存知だろうか。
教授が最近考古学にハマっており、埋蔵文化財センターへ行ったときのことである。
遺物はそのままの形で未来へ伝えたい。しかし、水を含んだ遺物をそのまま乾燥させると、水が抜ける際に力が加わって変形してしまう。
ところが、遺物を低温で凍らせて真空にすると、水の状態から一気に気体となって蒸発し、変形させることなく乾燥させることができる。
この方法は、インスタントラーメンを作る方法と同じだと説明されていたのである。
インスタントラーメンは、未来への伝言。
無口な教授が山頂で作ってくれるインスタントラーメンも、きっと何かを雄弁に語ってくれているはず。
今日も黙ってお湯を沸かす教授から、ありがたくインスタントラーメンを受け取る。
教授、ありがとう。
いただきます。
無口男子とおしゃべりできるデートとは
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