[西洋の古い物語]「楽しきイングランドの聖ジョージ」(最終回)
こんにちは。
いつもお読み下さり、ありがとうございます。
聖ジョージのお話の最終回です。アルミドールを倒した聖ジョージは6人の勇士たちとともにエジプトへと進軍します。
ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。
※ 画像はフォトギャラリーからお借りした朝顔です。ご近所のお庭でもそろそろ咲き始めました。ちょうどこんな美しい青い朝顔です。よそのお庭をあまりじろじろ見るわけにもいきませんので、今朝は幾つ咲いたかな、と気になりつつ、涼しい顔で通り過ぎたい夏の朝です。
「楽しきイングランドの聖ジョージ」(第6回)
この戦いで邪悪なアルミドールは、聖ジョージと一騎打ちをして倒れました。このことはアルミドールの臣下たちにとって大きな喜びでした。皆は、アルミドールに代わってモロッコの王になってくれるよう、勇士に乞い願いました。彼はこれに同意しました。戴冠式が済みますとキリスト教軍はエジプトへと向かいました。エジプトではプトレマイオス王が、これほど屈強な騎士たちを打ち負かすことなどできないと絶望し、宮殿の胸壁から身を投げて絶命しました。すると、キリスト教徒の勇士たちの騎士道と礼節に感じ入った貴族たちが、王位を勇士たちの誰か一人に差し上げたいと言いましたので、勇士たちは拍手喝采しながら、楽しきイングランドの聖ジョージを王に選びました。
それからキリスト教軍はペルシャへと行軍しました。ペルシャでは七日間にわたる激戦が荒れ狂い、その間、逃亡を試みようとして大勢が溺れ死んだほか、20万もの異教徒が殺されました。かくして敵は降伏を余儀なくされ、ペルシャ皇帝と6人の副王たちは聖ジョージと6人の勇士たちの手に落ちました。彼らはキリスト教の掟に従ってペルシャを統治することを約束しましたので、この上なく慈悲深く、名誉を重んじた待遇が与えられました。ところが、皇帝の心は軽蔑と暴虐で一杯でしたので、勇士たちに対して陰謀を企て、オズモンドという名前の邪悪な魔法使いを雇って勇士のうち6人を惑わしたのです。6人は闘いを捨て、安楽で怠惰な生活を始めました。しかし、聖ジョージは惑わされませんでしたし、兄弟のように思っている親友たちが魔法に魅入られていることを決してよしとはしませんでした。彼が懸命に鼓舞したおかげで6人は奮起し、邪悪な皇帝と副王たちが聖ジョージが7年もの長きにわたって呻吟したあの同じ地下牢に投げ込まれるまで、決して剣を鞘に入れることも武具の留金を外すこともしようとはしませんでした。
その後聖ジョージはペルシャの統治を引き受け、6人の勇士たちには6つの副王領を委ねました。
かくして、豪華な刺繍が施された美しい緑色のローブを身にまとい、その上には白い毛皮に縁取られ、純金の装飾で飾られた真紅のマントをはおり、聖ジョージは透き通ったアラバスターでできた象たちに支えられた玉座に座しました。すると、人々の歓呼の中、式部官が大声で叫びました。
「楽しきイングランドの聖ジョージ万歳!モロッコ皇帝にしてエジプト王、そしてペルシャ皇帝である聖ジョージ万歳!」
そして、その後、彼は正義にかなう良き法を確立し、その効果が非常に大きかったので、夥しい数の異教徒の集団がキリスト教に改宗するために集まりました。聖ジョージは信頼厚い顧問官たちの手に統治を委ね、世俗のことからひと時身を引いてイングランドへと帰還しました。そしてコベントリーでエジプト王女サビアと一緒に長い年月を過ごしました。サビアと聖ジョージの間には3人の勇敢な息子たちが生まれました。
というわけで、7人の勇士の筆頭にして最も偉大な勇士、楽しきイングランドの聖ジョージの物語はこれにてお終いとなります。
「楽しきイングランドの聖ジョージ」はこれでお終いです。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
このお話の原文は以下の物語集に収録されています。
次回をどうぞお楽しみに。