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〈詩小説〉夜明け前
彩りのない日常という名の世界
ただただ流れて往く景色
一緒にいるはずなのに
同じ世界のはずなのに
何かが違う世界
感覚が明確に訴えてくる
家族と友人たちと同じ世界に居たのに
心の奥深いところから拒絶される
この世界は違う
離れたい
痛い、キツイ…と
悲鳴が遠くからきこえてくる
遥か彼方へ向かう
闇がすべてを包む
日常も自分の世界も
何もかも
光も音も
静寂の世界へ
何も見えない闇の世界
でも
何故か心地良くて
澄み切った朝のような
それでいて優しい
息がしやすい
怖くない…
独りのようで独りではない
不思議な空間で腕を伸ばす
星に手が届く?
えっ、星?
暗闇なのにフッと思う
もういいのかな?
…もういいよ…
あぁ、そうか
もう還れる、戻れる
あの穏やかで暖かい世界へ
静かに目を閉じた
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