仕事を辞めたいのはなぜか考えてみた
私が今の仕事を辞めたいと思っている理由は、ワークライフバランスが保たれないと思ったからだ。そして、自分の中で折り合いがつかなくなったから。
就職してからずっと、私はワークワークオンリーだった。新卒1年目のときは、受験生の頃とは比べものにならないほど勉強した。1人暮らしのリビングに、自分が座るクッションの周りにずらっと本を並べて、あれ?と思ったときにすぐ開けるようにしていた。ご飯を食べるときも開きっぱなし。何ならご飯を食べる時間も惜しいくらい。自炊なんてほとんどしていなかったし、お菓子やパンで食事を済ませることもよくあった。睡眠時間もかなり削り、4時間眠れれば十分と思って生活していた。自分の周りの本を少しどけて眠りにつき、ベッドで眠ることは1週間のうち1〜2日程度だった。この努力の結果、「勉強熱心な真面目な子」というキャラが出来上がった。
勉強熱心な真面目キャラは、やがてあまり勉強が得意でない同期を見下し始めた。同期が聞いてきたことは、本を読めば全て分かるのに、なぜ分からないのかが分からなかった。『この上司に当たると色々知識聞かれるから気をつけた方がいいよ!私はこんなこと聞かれた!』なんて話すのは、自分の成長にならないし時間の無駄だと思っていた。
こうして上司には重宝されて、同期や部下には好かれない厄介なキャラが爆誕した。これはただ私の人間性が未熟だっただけなので、懺悔するような資格すらない。ただ、当時私は本当に必死だった。私には仕事をコツコツやることしか能力がない、もっと仕事を頑張らなければ自分に価値がなくなるとずっと思っていた。頑張る理由が仕事にしか見出せないまま過ごしていたのだろう。家族にも、仕事なんだから帰省できないなんていう酷いことを平気で言っていた。夜勤明けに祖母のお通夜に行き、疲れてるでしょと気遣う家族に甘え、何も手伝いもせず眠っていた。
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ワークワークオンリーの生活で心穏やかに過ごせるはずもなく、私はうつ病になった。自分がうつ病だと分かったとき、「私から仕事を取ったら何が残るの?」と思った。仕事の話以外で同僚と話すことが苦手で、同期や後輩たちが何が好きで何が嫌いなのか全然分からない。家族にもしばらく会っていない。私が正しいと思ってしてきた行動は、間違っていたのかもしれない。とても恐ろしくなった。
復職してからは、いい意味でプライドがなくなった。仕事はチームで進めていくもので、私が全てを抱えているわけではない。私は仕事だけをするために生活しているのではない。仕事でうまくいかなくても、私の価値がなくなるわけではない。仕事の結果だけを見て評価するのではなく、「おかげさまで」とか、「最善は尽くした」いう気持ちが自然に湧いてくるようになった。
そうすると、仕事がすごく楽になった。好きな音楽や本、行きたいお店にアンテナを張れるようになった。でも、ふと必死に仕事ばかりしていた頃のことを思い出しては、自分で作り出した泥沼に吸い込まれる。その当時に一緒に仕事をしていた後輩から結婚祝いをもらったとき、罪悪感に苛まれた。私はあんなに未熟な人間のままあなたに接していたのに、なぜそんなに優しくしてくれるのか。
今の私には、そして今後の私にも、これらのことを飲み込んで頑張り続けることはできないと思った。
ただ、今の仕事が本当に嫌いになったわけではない。この仕事を続けられたことに誇りを持ちたいと思う。そのくらい、素晴らしい仕事だ。いつか語れる日が来たら、今の仕事の素晴らしさを懐かしんでみたい。