【展示室で深呼吸】被膜虚実/Breathing めぐる呼吸 MOTコレクション 東京都現代美術館
東京都現代美術館。企画展の大行列をよそに建物の奥へ進むと現れるコレクション展示室では今年度最初の展示が始まった。
今回は新所蔵品をお披露目と80年代後半からの作品を集めた「被膜虚実」という1階の展示、人の呼吸すなわち大気や空気、風をテーマに「Breathing めぐる呼吸」と名付けたの3階の展示に分かれている。
「被膜虚実」
三上晴子氏のものものしい作品が第一室に。
三上晴子氏の活動や作品を全く知らずに見たその作品は、ここ10年以内の制作品なのかと思いこんでしまった。
制作年は1993年。今から30年前であった。
それは作家の予言めいたものではなく、現代を生きる上でいつだって自分たちの傍にあって見て見ぬ振りをしてきたものたちなのだなと思い知る。
ホンマタカシ氏の東京郊外の作品群。
発表された当初95年は都市の無機質さ、人工さ、均一さへの違和感を感じさせる作品だった。
約30年後の今、見るとすでに懐かしい風景、無機質というより温かみを感じてしまう写真になった。
今を切り抜くことは、いつか懐かしい風景になっていく、というのを実感んする。
作家の作風まで変化したように感じさせてしまう時間の経過。
90年代に学生だった頃この写真を見て私が抱いた感想と、
現在、現役の学生さんが見て抱く感想は全く違うのだろう。
写真芸術の面白さを見た。
やはり一瞬を切り抜いた瞬間に過去になる。
「Breathing めぐる呼吸」
とにかくスケールがでかい展示を楽しめる3階展示室。
今回は生誕100周年のサム・フランシスをまずドーンと。
入室した瞬間に「おお!」となる圧巻の展示。
こういうことが可能なのも現代美術館の建物の良さである。まさに非日常。
スケールのデカさは時に爽快感をもたらす。
それが室内なの深呼吸したくなるほどに。
真っ白なキャンバスに点在する様々な色彩。
筆跡も色合いも魅力だがやはりこの余白に惹かれるのかもしれない。
大画面を見ていると自分がキャンパスに入り込んだような錯覚に陥る。
平面の絵画に感じる奥行きってなんだろうか。
展示室を出ると、このスケールのでかい作品をどのように保管し、どのように展示を組み立てたか、の種明かし映像が流れている。
こちらもまた面白い。
余談と小さな衝撃
東京都現代美術館の2023年度の年間パスポートが発売開始4日後の4/4で予定枚数終了、販売停止となった。
※4/17追記 23年6/1より少量の追加販売が決定したようです。
https://www.mot-art-museum.jp/guide/annual-pass/
ちなみに、2022年度の年間パスポートは23年の1月まで販売していた。(使用期限は23年3月末まで)
2000年代に大学生になったタイミングで観覧料コストを抑えるために愛用していた友の会カード。昔はリキテンスタインのヘアリボンの少女が描かれていたPOPなカードだった記憶…
おそらく某展示の人気度によるものであるのと、年パスの存在がここまで認知が進んだのかという嬉しさ。
たとえ話題の展示だけを目的に購入したとしても、それをきっかけに年度内もう一度でも東京都現代美術館に来てくれれば良いなと思う。
同じ企画展示を4回見るのもよし。
常設展は見放題である。是非見て欲しい。
目で見たものは確かだ。それが理解を超えるものでも。
百聞は一見に如かず。
全てはそこに帰結する。
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