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【重力と】そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠 東京都庭園美術館

青木野枝さんの作品が好きだ。
昨年、市原湖畔美術館で見た個展はとても良かった。


その際、とある作品を前に、子供達から「庭園美術館とか寺にぶら下がってるアレと似てるねー」と無邪気に言われ、ガクッとした思い出がある。

これ。雨樋ですな。オシャレ雨樋。

でも、よくみると…や、なんか…わかる。
「アレ」はステンレス製だけどね。

そんな似たものがある東京都庭園美術館で青木野枝さんと三嶋りつ恵さんの企画展が始まった。

なんか一周回ってこちらに寄せてくれた感じ。



夕暮れ時の庭園は…


12月の16時半過ぎに行ったらボーっとライトアップされる洋館はエモい通り越し、ややホラーだったけども。薄暗い室内に静かに佇むガラスや鉄の彫刻たちはとても感じが良かった。

足元注意
わー、ピンボケした。何処かへ飛ばされそう。

そして閉館1時間前だとほぼ独り占めで作品と対峙できたのでよしとする。(実は夜間開館の日にちを間違えて18時閉館だった日の16時半過ぎに飛び込んでしまってのだ。)


新館は急にSF的



三嶋りつ恵さん

ガラス作品をちゃんと見るのは初。

洗面所的な雰囲気
ロビーは圧巻です。


数で推してくる


なんだかまるで縄文土器の様なのだ。
火焔土器もガラスも材料を辿れば地面から集めた素材を使用している。
数千年後もこのガラスが残って発掘されたら…今の縄文土器の様に研究されたりするのだろうか。


青木野枝さん
庭園美術館の照明の根ものと鉄の鎖の様な部分、青木さん作品と親和性がある。
なんだか素材の色と空間がマッチしていてとても良かったのだ。

シャンデリアの弧と作品の弧の親和性


あと面白いぐらいでかい。

食堂にどーんとある。具体的大きさを伝えるならば、
公園にある地球儀型回旋遊具、のサイズ感。
それを室内(重要文化財)にドン!である。
転がらないか心配。転がる様な重さじゃ無いけど。


1室、明らかに部屋の出入口よりも大きな作品が入れ込んである部屋があり「ん?ちょっとまって?」となる。
これどうやって搬入した?

出入り口より1.5倍の幅と高さ。

係員の方に尋ねたところ、室内で組み立てたという。
建物自体が重要文化財である。ほかを傷つけたりしないように組み立てるのは神経使うだろうな…

鉄とガラス


ウィンターガーデン。薄暗いのもまた乙。


どちらも原料に高熱を加えて形を変える素材だ。

製作中の温度とは裏腹に作品は(その時の空気を伝えるので、今だったら冬だから)シンとした冷たさを感じる。

そしてお二方の作品は重さ、重力を感じる。
例えばこの前見た西川勝人さんの彫刻は重さのイメージがつかなかった。

彫刻を見るなかで素材が身近であればあるほど、重さや、密度などを意識して見てしまうな、と気がついた。

あかりの色と石鹸の色のリンク感。(青木さん)
図書室の主(三嶋さん)
三嶋さんは円の什器
バスルームだけに石鹸(青木さん)
青木さんは角形の什器。
イメージ画の通りに出来上がっていると思う。

新館近くの外庭にも三嶋さんの作品が。これは自然光のある時間帯に見るのがおすすめだそうだが、この日は月明かりがあり、それはそれでまた良かった。

あえて、わかりにくい写真を。



1時間半あれば、ゆっくり見れたが(空いていたので)退館後、外門までの道のりが怖かったので慌てて退散。なんかガサガサ言っていた。お隣が科博の所有する自然園だし何かしら動物がいるのはわかるのだけども…

帰り道に公式webサイトの概要を読んだら、やはり高熱を加えて形作るものでお二人の共通点を述べていた。という訳で以下、展示概要

概要

降り注ぐ太陽の光、おだやかな温もりを感じさせる日だまり、暗闇の中に差し込む月明かり…
私たちは生きている間に、さまざまな光との邂逅を重ねています。
本展は、現代美術の第一線で活躍を続ける二人の作家、青木野枝と三嶋りつ惠が、当館の各所に作品を配置し、新たな視点でアール・デコの装飾空間を照らし出す企画です。
青木は鉄を用いて空間に線を描くような彫刻で表現の地平を切り拓き、三嶋は無色透明のガラス作品を通して場のエネルギーを掬い取り光に変換してきました。
二人が使用する“鉄”と“ガラス”という素材は、悠久の時を経て今日に伝えられた自然の恵みであると同時に、会場である旧朝香宮邸を彩る装飾として、シャンデリアやレリーフ、扉上のタンパン等にも多用されています。二人は幾度となくこの場所を訪れ、1930年代の装飾空間との対話を重ねて、本展のために一期一会の展示プランを作り上げました。
ともに創作に火を用い、熱く輝く炎によって、素材に生命を吹き込んできた青木野枝と三嶋りつ惠。そのプリミティブな力を宿したフォルムは、自然のもつエネルギーや循環を想起させ、見る者に驚きと気づきをもたらし、私たちを取り巻く世界を新たな光で包み込みます。

東京都庭園美術館公式サイトより

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