【四半世紀ぶりに再会】マティス展 -色、形、線、冒険のはじまり-東京都美術館
20年ぶりの大個展のマティス展。
前回は国立西洋美術館で2004年だったそうな。その展覧会には行っていないので、私は26年ぶりの再会を目指して東京都美術館へ降り立った。
1997年初秋
私とマティス作品の出会いは1997年秋、ポンピドーコレクションが東京都現代美術館にやって来た時が初めてだった。
本来なら近代のくくりの作品も多い中、現代美術館で見るポンピドーコレクションは新鮮だったし、メインビジュアルやポスターがマティスだったのだ。確か「ルーマニアのブラウス」という作品。
そしてキャッチコピーも覚えている。
「良い絵がいっぱい、ポンピドーコレクション展」。
その図録についての記載はこちらの記事に。
そこから26年。マティスの回顧展が来る!と知ってからポンピドーからたくさん来るのだろうな、というのも見当がついていて。
ポンピドー美術館のコレクション収集方針そのものが「マティスの生きた時代の美術を軸に扱う美術館」でもあるからだ。
東京都美術館の建物の性質上、どんな作品作家の展覧会でも展示室に驚きを持った大きな仕掛けはなく、変わり映えはない。
けれど、時系列に見せる展示はオーソドックスではありながら、やはり分かりやすい。
慣れている動線、定番化、は時に迷いなく動けることで無駄を省けるというメリットもあるのだな。
再会を果たせるのか
今回、26年前に、現代美術館で見た作品ももしかしたら見れるのではないか?と期待をしていたら、いました!4、5点ほど再会の作品が。
ジャネット!
展示を見ながら出品目録に殴り書きで「どこかで見てる」と書いていた「ジャネットⅣ」。やはりこれは26年前に見ていた。
16歳の時の私が見たジャネット。
41歳の私が見たジャネット。
多分2人とも抱いた感想は「サザエさんじゃん!」だと思う。
そして彫刻の周りをぐるぐると回りながら鑑賞したのだ。なんだか楽しい気持ちになるのです、この彫刻。
マグノリアの絵や赤い部屋も。久しぶり!相変わらず鮮やかで、線は伸び伸びしていて、良いね!良いね。
そして、夢。
この作品と解説を見て唸ってしまった。
モデルに自然にポーズをとらせ、という話。描き手の描きたいポーズではなく、モデル側から生まれたポーズ。それを描き残したかったマティス。
彫刻の展示
先にジャネットの話を書いたが、今回マティスの彫刻もしっかり展示がある。
立体と平面(絵画)ができる、というのはやはり類い稀なる才能と挑戦があるからだろう。
彫刻の展示を見た十数分後。その彫刻が絵の中に登場する。この「あれ?この描かれてるモチーフって…」という手繰り寄せる感覚が楽しかったし、絵を見ると描かれている彫刻が非常に忠実なことがわかる。
あれ…それとも逆なのか?絵に描いたあと彫刻に起こしたのだろうか??
再び名作がこの目で見れること、とは
16歳の頃は「次、この作品と会う時は本場フランスのポンピドー美術館で見るんだ」と思ったものだが、そこへ行くタイミングも行動もとれず、2度目の再会もまた東京だったなぁと、とちょっとクスクスとしてしまった。
でもまたこうやって無事再会を果たせて良かったではないか。
26年の間、色々あるけど一生懸命生きてたんだ。
再会、それだけで、十二分だ。