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【これからは◯◯の時代!】三島喜美代―未来への記憶 練馬区立美術館

原美術館が品川にあった頃、その芝生の中庭にいつも大きな新聞紙が鎮座していた。
私が見た三島喜美代作品の最初は、それだと思う。
原美術館が閉館する時、作品はどうなってしまうのか?と思っていたら群馬県のハラミュージアムアークにちゃんと移設された。一安心。

群馬でも広い中庭に。時々位置を変えて展示されている。



あとは、現代美術館の常設展示室で見かけたりしていたと思う。
やっぱり、面白くてちょっとクスッと笑ってしまうことに惹かれる性分なせいか、作品は作品なんだけどもガラクタ感を醸していて好きだった。
大真面目に見てるけどモチーフはガサガサしてる、日常で見てる段ボールじゃないか。
…ある意味デュシャン的なのかもしれない。

そんな彼女の作品は思えば昔から馴染みはあったが個展は確かになかった。
数年前、森美術館で行われた「アナザー・エナジー」展でものすごい大型の作品を見て驚いたのだ。バリバリ現役、90歳!あ!ここで取り上げてくれたかー!と思った。

そしてやっと東京での美術館で個展初開催である。遅すぎやしないかい?

概要

本展覧会は、70年にわたる三島の創作の軌跡を、主要作品を通して概観するものです。大量消費社会や情報化社会へ厳しい視線を投げかけつつも、情報やゴミを異化作用を通して造形表現へと転化させた三島作品は、日々の暮らしの中から遊び心をもって生み出されてきました。

練馬区立美術館

初期の絵画作品

はじめの展示室は絵画をやっていた頃の作品。
若い頃、かっこいい!と思ったものすべてがぶち込んであるようなそんな画面。
わかりやすく好きだ。ポップアートとも共鳴していたのだろう。

第一展示室
情報量が意外と多い
面白い構成。素材は?
馬券である。なんかこれは豊嶋康子チック。



新聞紙の風呂敷包画像

新聞紙の風呂敷包み


この作品は南画廊で展示された作品ではないか?東京都現代美術館の所蔵品に安斎重男氏が撮影した写真が残っている。再制作だろうか?

陶の作品郡


展示室2の一番はじめにぶら下がっていたタグの作品。こちら

2024年の作品。




今回で一番ぐっときた。
「われもの注意」「取り扱い注意」のタグなのにそれ自体が割れ物でできている危うさ、ツッコミどころ。
面白いなぁ、と同時にきっと、割れ物を輸送する機会が多い三島さんのアトリエにいっぱいあったのだろうな。それを「あ、これ作品にしよ」と思ったんだろうなぁ。
なんかそんな想像ができる。フフッと笑ってしまう。

長年のギモンと好奇心が解消できるコーナー

入り口にくずばこ。

作品を見るたびに頭の片隅に浮かび上がる、
「これ、どれぐらいの重さなんだろう?」という疑問。
でももちろん触れないし質感も塗装によってわからなくなっているわけで。
缶だったらこんな質感、こんな軽さ、なのだがそれがらしさを残して違う素材で擬態しているわけで。常に見ながら頭で捉えようとする質感質量にバグが起きていた。
美術品を扱う輸送の人と指示を出す学芸員さんぐらいしか質量の全貌はわからないわけだ。

ところが今回、なんと触ってOKな見本品がおいてあるではないか。

触れる展示、最高か。

おーー!長年の夢、疑問が解消した瞬間である。
え、この重さ、この質感なのかーへぇーーー!

いやぁ、この企画用意した美術館に感謝である。

作者のインタビュー動画のおもしろさ

ゴミを作品にする、というと昨今では「SDGz〜」みたいな捉え方をされそうだけども、三島さんインタビュー動画を見る限りそれだけではなくて。
純粋にゴミを面白いモチーフとしてみている。
だから美術作品にしても面白さも成立しているのかと感じる。

インタビュー動画も傑作だった。お時間ある方はぜひ。10分ぐらいの2023年の映像。
「今までは情報の時代。これからはゴミの時代!」と笑顔で言い切っていた。
もうなんか清々しすぎてインタビュー見終えて笑ってしまった。

ゴミの時代!

すごいパワーワードでたな。
声に出して読みたい。「ゴミの時代!」

練馬区立美術館ロビーを上から

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