【魅せること】「竹林之七妍」「特集展示 野村和弘」「Eye to Eye—見ること」MOTコレクション 東京都現代美術館
毎回、多彩な切り口を見せてくれる東京都現代美術館のコレクション展示室。
改めて、東京都現代美術館のコレクション展の成り立ちをご紹介。
こんな背景である。
なので都美館時代のコレクション品なのか、現代美術館になってからのコレクションなのか、ちょっと意識してみてもおもしろい。
作品リストには受入年度が書いてあるので1995年以前/以降を区切りに見ると結構楽しい。
主に戦後の作品を「コンテンポラリーアート」として受け入れている様だが、時期によっては近代「モダンアート」の年代のものもある。
1923年の作品なんかはまさにそうだ。都美術館は東近美より歴史が古いわけだから。
東京国立近代の2階展示室が現代の画家の作品中心になっているように、その反対で現代美術館でも近代の作家の展示が行われる。
特筆したい「特集展示 野村和弘」
開発好明展の記事にも書いたが、野村和弘氏の作品は2019年「あそびのじかん」展で一家で出会った。
《笑う祭壇》というボタン投げの作品がシンプルだけども楽しく。
限りなく不可能なこともわかってはいるのだがつい集中してしまう。
コンセプチャルな作品が多く、一見でわかりにくいものある。
でもなんだか、おかしみがある。
今回の冊子を読み込んだところ「大学時代は榎倉康二に親炙した」と書かれていた。
ものすごく、腑に落ちたぞ。
榎倉康二研究室出身者には白井美穂さんとか豊嶋康子さんとか現代のもの派的アーティストと近いところにいる人だ。
野村和弘氏の方が一回り上の世代だけど、なるほど、と思ってしまった。
https://www.youtube.com/live/kwKbF2M0qU4?si=J4HE9DYW0jCGni9X
この対談の動画見つけてきて見たけども口を揃えて
「(榎倉先生)は何言ってるのか全然わからなかった」
って言ってて笑ってしまった。
そして宮島達男さんまで実は関わっていたとは。
今回、宮島さんの展示室に野村さんがあったのも納得した。
この動画、後半ものすごく面白い。
「わからないことがいい」「わからないことがダメじゃない」
本当、そう思う。
2階「Eye to Eye—見ること」
第一室で1年間楽しませてくれたサム・フランシスや度肝を抜かれた横尾さんと宮島さんのコラボが解かれ新たなテーマの展示室となった。
展示タイトルは「Eye to Eye—見ること」。
2階、第一室はまず天井の高さとヌケ感に心を奪われるのだが、今回はそこへ「視線」が展示されている。
「こっち見んな」ではなく「こっち見てる」である。
視線を感じる作品にぐるりと囲まれてみると、自分が見ている方なのか見られている方なのか曖昧になってくる。
昔、小学校の音楽室にズラーーっと掲げられていたクラッシック大御所の肖像画のような。
あれもじっと見つめていると「目が動いた!」ような錯覚に陥る。
こちらが見ている から ある程度視線を投げ続けると視線が返ってくる気がする。
そしてそこに子どもの想像力が加味され学校の七不思議とか都市伝説へ。
美術室のモナリザも同じだろう。
ウォーホル、リキテンシュタイン、ゲルハルト・リヒター。
往年の現代美術館の大スターが3枚展示されている。
あぁ確かに。これも視線の作品だ。
しかしこの3枚セットになることが最近は多いな。
アレックス・カッツの2枚も久しぶりの展示では?これも90年代のコレクション展示室で良く見ていた気がする。
あ、これあったねぇ。と馴染み深い。
この絵画郡についての思い出はことあるごとに語っている。
多田美波氏や宮脇愛子氏の作品も並ぶ。
多田美波氏に関しては素材開発から作品作りとして行って来た訳で。この根本から追求する姿勢は今で言うプロダクト、インダストリアルデザインに近いかも。
今回は書き起こしていないが1階の竹林之七妍の展示も良かったし、やはりコレクションをしっかり構成して見せるこの展示室は大好きだ。
入れ替えまでまだ期間があるのでもう1度、いや2度ぐらい行けたらいいなと思っている。
東京都現代美術館、5時間コースこれにて終了である。
同じ日に見た展示1
同じ日に見た展示2