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【気軽につながる】塩田千春 つながる私 大阪中之島美術館

ベルリン在住の作家、塩田千春氏。
最初に見た作品は2001年ぐらいの横浜トリエンナーレだった記憶。
ものすっごいでっかいドレスが天井から吊るされていて、その布がなんかカビてるような、泥が染み込んでいる様な、そんな作品。
とにかくでかいな、と。
なんか今の鴻池朋子さんの雰囲気のようなイメージ。

その頃は塩田さんの名前は認識していなかった。あの糸を編む作品が話題になり始めた頃、あのトリエンナーレの作品が塩田さんの作品だった、と認識したのだった。

昔のトリエンナーレの作品を彷彿とさせるドレスの作品
でかい。今回は白い。



2019年に六本木ヒルズ 森美術館で開催された「魂が震える」展が記憶に新しい。とはいえもう5年前か。

各美術館での所蔵も進み、小さめの作品、1展示室丸ごとインスタレーションなど、ここ最近彼女の作品を見かけることも増えた。

こちらは十和田現代美術館の一室展示。


こちらは国立国際美術館の所蔵品。黒版。

そんな中で関西旅行直前に、東京国立近代美術館のコレクション展示室で見たビデオ作品のインパクトが強かった。

ひたすら、泥を被り続けるという。1991年の作品。

作風として有名な糸を編むインスタレーションの印象は強く、更に「映え」至上主義の時代にも促進されて作家名が一躍有名になったと思う。
美術館での写真撮影がOKになったことも彼女の知名度を上げる一役を買っているのだろうなと思う。

でもその前の時代、泥を被り続ける体当たり感を見てなんか良いな、と思ったのだ。文字通り「泥臭い」映像。
今は文句なく「わぁ!きれー」と言われるが、必ずしもそう言えない泥まみれの時代、映像。パンクだな。

なんだかんだ、圧巻。
作業を思うと気が遠くなる。



今回の展示はもちろん「わぁすげえや!」って笑ってしまうのだが、
この泥をかぶる映像もちゃんと流れていて、いいなと思った。きれー!だけで終わらせない不穏さが良い。

空間としての圧巻さがあるからやっぱり「きれーだな!」ってなるのだけど。


展示室を出たあとに本人のインタビューが流れていて見てみたが

「糸とか編んだ作品を見てもらって、『わー、どうやって作ったのだろう』とかそういう疑問から『現代美術って面白いな』と思ってもらえたら十分
と言っていた。

それくらい気軽に見ていいのよね。
別に物知り顔で見なくていい。
間口の広い展覧会だと思う。
現代美術って面白い



追記
企画展グッズ売り場に塩田千春さんのお母さんがアクリル毛糸で手編みしたいちご型のたわしが売っていた。
その名も「つながるたわし」(展覧会名の「つながる私」のダジャレだろ!しかも赤い毛糸だし)。

うん、やっぱりここは大阪だなぁとニヤニヤした。

Instagramに流れてくる広告には「素敵な展覧会オリジナルグッズもご注目⭐︎」と言ってたけど「たわし」も含まれてるのだ。

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