【静かな湖畔の現代美術】荒木悠 LONELY PLANETS / コレクション展示室 十和田市現代美術館
東北初の現代美術に特化した十和田市現代美術館へ。
現代美術館、と名乗っている美術館の訪問は東京都現代美術館以外、初である。
公費で現代美術の収集を行うのがいかに大変であることかは、幾度となく記事文中に書いている。
なので、「よくもここまでのコレクションに踏み切った、振り切ったな」というのが所感。
でもそれを見たいがために極寒の八戸に2時間以上かけて向かい、そこからさらにバスで1時間半かけて十和田の街まで行く人間もいるのだ。
観光資源としても心の底から活用してもらいたい。
企画展【荒木悠 LONELY PLANETS】
映像作家・荒木悠の美術館での初個展である。
面白かった映像作品。
「オスカー像を世界各地域の工芸職人に作ってもらう」という企画。
映画界の最高峰権威である米アカデミー賞の象徴、かの有名なオスカー像を世界の工芸職人がイメージし作り上げる。
制作過程の映像と出来上がった現物を見て思わず吹き出してしまった。
そうなるよね。。。。という結果。
でも、伝わる。
オスカー像って伝わるのだ。
らしさ、模倣、オリジナル、複製ってどからどこまで、なんて線引が非常に曖昧だと気がつく。
【コレクション展示室】
さて、お待ちかねコレクション展示室。
1室に1作品という配置で展示されている。
トコトコいろんな部屋に入り込むたびに「おぉ!」という新鮮な感動があった。
今回は4作品をピックアップ。
「スタンディング・ウーマン」 ロン・ミュエク
大人の私でも部屋に足を踏み入れた瞬間、後退りをした。
写真などで大きい作品だ、ということは認識していてもやはり本物を見たときの大きさに対する驚きって大きい。
百聞は一見にしかず、というのはまさにこのことなんじゃないか。
ちなみに見学中にお子さん連れのご家族が入室してきた。
案の定お子さんは泣いた。まぁ…びっくりするよね。
「ロケーション (5)」 ハンス・オプ・デ・ベーク
最初暗すぎてなにかさっぱり分からなかったが、目が慣れてくるとここがどこなのかわかってくる。人間の視力って不思議だ。
そしてその暗さが雰囲気を醸し出しているがこの展示室の仕組みがどうなっているのか全く分からなかった。
「建物―ブエノスアイレス」 レアンドロ・エルリッヒ
金沢21世紀美術館にあるスイミングプールが有名なレアンドロ・エルリッヒ
2017年〜2018年に六本木・森美術館での個展でみた作品に近い。
その当時の作品の収蔵なのか確認したところ、この「建物―ブエノスアイレス」は十和田市現代美術館のために作成されたものだそうだ。
非常に大掛かりな作品になるため、美術館裏手に見に行かなかればならないのだがちょっっと分かりづらい。見逃して帰らないように気をつけねばいけない。
「水の記憶」 塩田千春
こちらも森美術館での個展の記憶に新しい。
彼女の代表的な表現、赤い糸をランダムに張り巡らして室内を埋める展示。
こちらもこの美術館のために作成。
中心に据えてある船は十和田湖の湖畔に打ち捨てられていた古い船だそうだ。
展示・制作の過程を尋ねたところ作業協力者と塩田氏で数日かけて作り上げたそうで、最後の方の作業に塩田氏は非常に苦労していたようだ。そんな話も聞く事ができた。
近隣には野外彫刻も、街中展示ももりだくさん。
ちょっとしたテーマパークのようだ。
十和田の街を散策をする
町中に【me'】の作った展示スペースもある、というので探しがてら散策。
確かこの辺にあるはず、と思いつつ古びたスナックの看板を見つけてグッと来る。
しかし目的の建物はみつからない。
あれぇ??と美術館でもらった簡単な地図冊子を片手にうろうろしていた。そしたらスナック「ハッピー」へ入ろうとする人が現れて声をかけてくれた。
「作品お探しですかー?」
「はいー!」
と答えたら、
「この建物ですー!」と言われた。
あーこれだわ。
しかし目立つだろうから絶対気がつくと思っていたけれど人間案外気が付かないものなのだなぁ。。
【me'】にまんまとしてやられたというか。
写真で見ればこれ気がつかないってあるのか?と思うのだがまさに「灯台下暗し」という状態だった。
展示がなかったので、外側から見るだけだったが面白い体験をした。
十和田の町
散策色々
美術も良いが、知らない街並みを歩く楽しさよ…
ありがたいことです。