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#小説
ファイブ・デイズ、ファイブ・クエスツ
「申し訳ないが、お断りさせてもらうよ」
「お断りって、本気で言っているんですか?」
「正直なところ、私にはまだキミたち自身が誘拐犯でないという疑いを捨てきれない」
エルフの日系人、サクヤは大仰に肩をすくめる。
「10年以上も前に母と私とを捨てた父が、実はメガの重役で、遺言状で私に財産とポストとを全て譲って。今日キミたちが、私を次の役員会議まで軟禁するためにやってきた。話ができすぎていると思わない
ヒーロー・ドリームス・ネクスト・ステージ
「樹里ちゃん樹里ちゃん!」
事務所のドアを開けた途端、待ち構えていたかのようにチョコが駆け寄ってくる。
「どうしたんだよ、冷蔵庫のおやつひとりで食べつくしたのか?」
「今日はひとつで我慢したよ! そうじゃなくて!」
こっちこっち、と声を潜めて応接間の方へ手招きする。かすかに開いたドアの隙間から、チョコの頭越しに中を覗き込んだ。
「――なるほど。敵の攻撃で、私たちの世界へ飛ばされたと」
「おそら
アンドロイド・ミーツ・オーヴァーロード
――本体の状態を確認しています。
――損傷は修復されました。
――新しい言語ファイルを確認しました。
――ソフトウェアを更新しています。
――システムを再起動しています。
△▽△
――白く、金属的な光沢のある天井。体は横たえられている。
「直ったかな?」
声。年少の女性と推測される。
「ここは」
音声出力機能は正常。
「直ったみたいだべさ」
別の声。先ほどの声よりはやや