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古典要約

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古典を独特の視点でわかりやすく要約し、物語の本質を浮かび上がらせます。
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記事一覧

怪談・小泉八雲『耳なし芳一』~芳一の裏切り

小泉八雲の名著『怪談』に収録されている、『耳なし芳一』について考察してみました。 まずは…

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小泉八雲『鏡の少女』-”少女”は一体何者なのか?

小泉八雲『鏡の少女』について考察してみました。 まずは、物語の概要から。 1.松村兵庫とい…

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日本のUFO伝説『金色姫/うつろ舟』ービジネス解釈ー

茨城県・蚕影山縁起にある”金色姫”について、ビジネス視点で解釈してみました。 まずは、物…

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昔話『蜘蛛の綾織』-ビジネス解釈-

日本の昔話『蜘蛛の綾織』について、ビジネス的に解釈してみました。 まずは、物語の概要から…

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怖い昔話『飯降山』ーミステリー解釈ー

日本のコワイ昔話『飯降山』について、ミステリー解釈してみました。 まずは、物語の概要から…

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白の葬列 ー水戸藩一村虐殺事件ー

元和二年(1616年) 春 常陸国 生瀬村 「これはっ……」  下野国那須郡馬頭村からこの…

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陰ミラー(最終話) ー義経東下り外伝ー

「有綱、何を考えているのですか?」  ふと気が付くと、静様の顔が目の前にあった。もう一度、静様が聞く。 「有綱の相手は誰だったのですか?」 「そのような話……」 「他の武家の子息に比べ、あなたは幸せです」  次の瞬間、私の唇は静様の唇でふさがれた。 「んぐっ……」  とっさに引き離そうとするが、静様は、私の両手をかいくぐって胸に抱きついた。 「元服の儀式の続きをここでなさい」  私は自分の鼓動が大きくなるのを感じていた。それを静様に悟られまいと身をよじったが、静様はなおも身体

陰ミラー(三)ー義経東下り外伝ー

 その日、静様は食事を食べようとしなかった。 「静様、先ほどは申しわけございません。機嫌…

陰ミラー(二) ー義経東下り外伝ー

 踏み潰したムカデの足はまだ動いていた。  ムカデは、毘沙門天の使者と信じられている。鎌…

陰ミラー(一) ー義経東下り外伝ー

 色褪せない花はない。 しかし、花は、枯れても自らが色褪せたとは思わないだろう。 花自身に…

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Diplomacy 交渉手腕☆小泉八雲(秋田流要約)

「死ぬのは…… 死罪だけは、どうかお許しください。どうしても私を殺すのなら、殿のこと、い…

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怪談『雪女』-ミステリー解釈-

 僕は、小泉八雲の名著”怪談”に収録されている、『雪女』を読むと、まるでミステリー小説を…

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今昔物語 巻二十四 第二十三 近頃ときたらまったく…

 今は昔、琵琶の達人である源博雅は、とある盲人が逢坂にある粗末な家で、琵琶を弾いていると…

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『浦島太郎』原初の物語 ー風土記・日本書紀・古事談・水鏡・宇治拾遺物語より集約ー

時は雄略天皇の時代。  丹後国与謝郡に水江浦嶋子(みずのえの うらしまこ)という人がいた。眉目秀麗な男子である。  釣りが好きなので、この日も海に舟を出していたが、なぜかまったく釣れない。  ただ、綺麗な亀を一匹捕まえることができた。  そのとき、浦嶋子は眠気をもよおして舟でうたた寝をし、目が覚めると、そこには絶世の美女がいてびっくり。 「あのう、イキナリ現れたあなたはどなたでしょう?」  美女は答える。 「わたしは、蓬莱山を住処とする、天女です。前世であなたとわたし