見出し画像

時雨忌の羅漢


11月19日

旧暦の10月12日に当たるというので、芭蕉像のお伴をして散歩。どこに行こうかと迷って、急に羅漢寺の翁に似たひとに逢いたくなった。どんよりした夕べで、雪虫がふわふわと飛ぶ。

 時雨忌の謎に立ちたる羅漢群



つれあいが芭蕉さんがいる…と紹介してくれた日から、このひとは翁の雰囲気を漂わしている。彼女はまたセロニアス・モンクに似た羅漢も別のところで見つけている。
  親が見たけら北条の西の
  五百羅漢の堂にござれ
古謡に歌われている通り、誰かの風貌に通う羅漢はいるだろう。



写真集『北条石仏 ─不思議が立っている』の表紙を飾ってくれた羅漢。
どこか西洋的な顔立ち。野にある石仏にはやはり草や花が似合う。これは野路菊だろうか。



境内の楓が紅葉して羅漢たちの秋もぐっと深まる。いやもう冬が来ている、という寒がりもいる。石は寒さに弱いだろう。冷え易いだろう。
あちらでぽとん、こちらでぽとんと、どんぐりが落ちて転がる。



ふと気づけば、薬師堂の上に月。こんなふうに月と羅漢を撮れることは珍しい。東に向いた30人余の羅漢がこれを観ているだろうか。
咄嗟に思いついて来たので拝観料を持ち合わせない。家人に連絡したから後ほどということで入れてもらった。その彼女はまず芭蕉羅漢と会い、この日新しく二人の羅漢が心に留まったと言う。
境内にはもう一人、重いカメラを手に、今日は閉門まで粘り、明日は開門と同時に来るという老人が羅漢を巡っていた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?