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12月1日
大きなイチョウの葉が足元に落ちていた。思わず拾った。柄がとても長い。いい筆にもなりそうだった。
全長17cm、葉幅13cm。



12月2日
イチョウの葉に誘われるように墨を磨った。秋から冬は茶系の墨を使うことが多い。淡墨のきれいな墨を選んだ。何枚か描いて、最後にその大ぶりの葉を愛玩しているうちに、ひろびろとした葉面が扇面のように見えてきた。
イチョウの筆はもう無いので、センダンの筆で「幻野ノ黃蝶」と書いた。拾った日付も記しておいた。



十枚ほど描いた内の、初めの方の一枚。
「いてふ の はっぱ が てふてふ に」
語感が通い、黃葉は黃蝶に、想像力もまた黄色い翅をもって飛ぶ。



12月3日
道に蝶がいた。
見事に「いてふのはっぱがてふてふに」なっていた。
なるほど、イチョウは異蝶である。


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