パラレルワールド
量子世界の物理状態は重ね合わさり、波を形づくっているが、観測された瞬間に波はしぼみ、1つの状態に落ち着く(波束の収縮)。光は波動で粒子であると説明する。
どの状態が観測されるかは、波の振幅をもとに確率論的に予想できる。収縮の原因として、測定する側(環境)が測定される側に乱れを起こすことなどが考えられている。
多世界解釈は、観測者の世界が枝分かれするとみる立場。AとB、2つの状態の重ね合わせを観測すると、観測者はAを見た分身と、Bを見た分身に分かれる、と考える。異端視されてきたが、近年、量子情報科学の進展で注目されているそうです。
シュレジンガーの猫の話ですが「箱の中に入れた時点で、この世界は猫が生きている世界と、猫が死んでいる世界に分岐してしまった、と考えるのです。」この考え方を『多世界解釈』と言います。
しかし分岐した世界同士は、互いに影響しあうことはありません。なので本当にこの世界が分裂したのかどうか、確かめる方法はないのです。
コインを空中に挙げて表が出たら「こちら」を選択。裏が出れば「あちら」を選択。私たちはこのように生きる上でいつも選択をしています。
確かめようはないが「こちら」を選択した自分と「あちら」を選択した自分が同時にいるに違いないと思うのはこのことだろう。
ある程度生きた人は、人生を振り返って、「あのとき、異なる選択をしていたら、私の人生はどうなっていただろう?」と考えることがあるはずだ。良くなっていたかもしれないし、ものすごく悪くなっていたかもしれない。長年連れ添った伴侶が異なる人だという可能性もある。
そんな疑問を膨らませたのが、『Maybe in Another Life』という本だ。
ハナ・マーティンは、29歳になった今でも根なし草のように生きている。故郷のロサンゼルスを離れて大学を卒業してから6つの異なる都市に住み、キャリアに無縁の職を転々としている。
恋愛でも特に長続きすることはなく、最後のボーイフレンドは既婚者だということを隠していた。その彼と縁を切ったのを機に、ハナはニューヨークからロサンゼルスに戻り、幼い頃からの親友であるガビーの家に転げ込んだ。
ハナが戻ったのを記念して、昔からの友人が集まってバーでパーティをすることになった。
その夜、ハナは高校時代のボーイフレンドであるイーサンに再会した。
イーサンとハナのどちらにとっても初恋であり、当時は「ソウルメイト」だと信じていた相手だった。だが、ひとつ年上のイーサンが先に大学に行き、別れたのだった。どうやら、イーサンはよりを戻したがっている雰囲気だ。
イーサンの誘いに乗って一緒に彼のアパートに戻るかどうかハナは迷う。
「イエス」と答えたハナと「ノー」と答えたハナのふたつの運命がここから変化していく。
その結果、ハナの人生はどうなったのだろうか。
今ここにいる自分はあらゆる選択をした一つ過ぎないとすれば、その選択の中で大金持ちの自分がいるかもしれないし、世間の注目を浴び生き甲斐のある人生を送る自分もいたはずである。
そう考えれば今を起点に運命を変えたいなら強く願う選択により人生の成功とかパラレルワールドの引き寄せは可能となるだろう。単なる空想としても悪くはない話だ。
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