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量子状態 part2

ヒトを始めとしたさまざまな生物種の全遺伝情報(ゲノム)もすでに解読され、生物の部品の情報が得られた。
しかし、自動車は分解して組み立てると動くが、ヒトや大腸菌を分解しても元通りにならない。
前章で述べた、人間が知りえた量子情報で何かが欠落しているということは、このように部品どうしの繊細な相互作用の情報が欠落しているということなのだ。
要は、要素還元的なアプローチだけでは単純な「生命」といえども人間には作り出すことが出来ないということなのだ。

 その意味で分子生物学の限界が見えたということなのだろう。
次世代、量子生命科学が花開く起点は、前章の繰り返しになるが、生命活動での量子効果のさらなる解明だ。

植物の光合成では、効率よく太陽エネルギーを化学エネルギーに転換しており、この分野でも量子効果の関与が言われている。
この仕組みを応用すれば高効率な太陽電池の開発につながるだろう。

渡り鳥は量子力学の原理で微弱な地磁気を検知して方向を決めていることも前章で触れた。
いわば人工衛星に頼らないGPSのようなものだ。

放射線によるDNA突然変異や修復機構も量子レベルで研究すれば新しいことが分るはずだという。
ロシアが戦場の原発を攻撃したり、戦術核の使用で恫喝を行っている。災害での予期せぬ臨界からの放射線障害も心配だが、このような放射線障害の治療薬開発に量子論の発展は貢献するかもしれない。
私も長年関心を寄せる量子論の数学的枠組みや情報科学の力も使えば、意識や生命の謎に迫まれるだろう。

人類の歴史20万年を経て、永遠の夢でもある寿命を獲得するかもしれない。すでに人類初のサイボークまで登場しようとしている。
人生の意味の再定義、心の問題、仮想空間と現実空間の一体化など、さまざまなパラダイムシフトが起きつつある。
地球上のすべての生命は地球で育まれた。その結果として寿命、肉体、心や意識が創られた。

 人類は自らの遺伝情報すら書き換えて地球生命体から別れを告げ、別次元の生命体、ホモ・サピエンス2バージョンへ脱皮するかもしれない。

永遠の寿命、そして太陽から独立した水素融合(核融合)エネルギーを獲得し、宇宙に活躍の場を移すだろう。だが、いかなる未来も次なるエポックを作り出し乗り越えなければそれはないだろう。
このNoteでは幾度も取り上げてきた「対立と調和」の概念。対立と調和は一つの概念だ。対立があるから調和があり、「調和ある多様性の創造」がある。

この宇宙のいっさいのものはすべて対立しつつ調和している。ただ対立しているのではない。対立しながらもお互いに調和し合っているのだ。量子の内部でも右に回転する素子と左に回転する素子が同時に反対の運動をしているから調和しているのだ。(相補性)

このように、根本のところから自然は自ずと生成発展し、秩序を保っている。この秩序だった調和があったから、気の遠くなるような確率を経て生命が誕生して来たのだ。

したがって、「対立と調和は、いわば一つの自然の理法であり、世界のあるべき姿だ」と松下幸之助は言う。
 
対立だけでは混乱が生じる。調和だけでは発展はない。対立しつつ調和するところに、いろいろな意味で生命の生成発展があったのだ。

私たちは生きていく中で、一方的に乱雑化、無秩序化して死に至る。これが時の流れなのだ。
その過程でも無意識な光合成的働きで秩序の修復を図っている。
これは不可逆的、時への逆行であり、時間の逆転と捉えれば大きなサイクルでは、死から生への逆行もあるのだろう。死んで生きる、それが可能なのは、無意識下の量子効果なのだ。
もともとが秩序的な生命現象が一回限りの生ではなく、さらなる進化の方向を目指すのは対立と調和を孕む構造だからである。
今後の科学の発展はこのことがキーワードになっていくのだろう。

(時の流れは、情報-熱力学的ーであり可逆的な終点と不可逆的始点に収束される私たちの命はどちらにおいても始点=終点を生きる永遠の命なのだろう。
私たちの現実は、情報としてのバーチャルかもしれない。宇宙は膨張から収縮に向かい死から生命誕生へと時間をさかのぼって更に無となってもその情報は保存則によりまたその反対を繰り返すのだろう。東洋人は直観的に色即是空、空即是色とそれを捉えたのかもしれない


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