武田神社に弾丸旅行 其の3
5円玉ひとつで、「小説が最後まで完成しますように」と四百と数十年前の武将にお願いし、拝殿をあとにします。
そして神符授与所でお守りなどを見て、その横にある絵馬を眺めます。
この辺りで陽が落ちてきて、風もでてきたので、宝物殿も武能殿も見ずに神社をあとにしました。
お濠を越えると、ちょうどバスがこちらに向かってきてます。山の方から来ているということは、甲府駅に向かうはずです。急いでバス停へ。
バスは『伊勢町営業所』行きとなっていました。甲府駅に行くのか不安でしたが、すぐ発車しそうなので乗り込んでしまいました。ちがうところに運ばれてしまったら、それはそれ。そんなアクシデントも気ままな旅ならではです。
バスは武田神社を背に、行きに歩いた道をどんどん坂を下っていきます。大学をすぎて、ケーキ屋をすぎて……。
アクシデントのかけらもなく、ほんの10分ほどで甲府駅北口に到着してしまいました。
寒いと空腹感が強まるので、山梨名物ほうとうの『小作』さんに。
『小作』さんは甲府駅の両側にあるのでどちらにするか悩みましたが、行ったことのない南口店に入りました。
山梨名物のほうとう。これは豚肉ほうとうです。
ほうとうはかぼちゃがベースの味噌味で、基本のかぼちゃほうとうもあります。ただ、それだとあっさりした味になってしまいます。やはり豚肉ほうとうの方が、適度な脂がコクがあり、具や麺とからまって美味しく感じます。
ぼくはほうとうが大好きで『ほうとう弾丸旅行』をしたことも何度かある身なので、一つでは物足りない。やせっぽちで、腹におさまるスペースもそうないのですが、せっかく来たからにはもう一ついきます。
あずきほうとう。
ほうとうとしては、めずらしく甘い一品です。しかしほうとうのごつい麺は餅に似た食感なので、あずきに合うのです。もちろんこれだけだと物足りないですが、2杯目が可能なときは、都合のいいメニューです。
店内は、旅行者風、サラリーマン、学生風と、さまざまなカテゴリーの人でにぎわっていました。サラリーマンの人たちはこの近所なのか、お酒のお代わりを繰り返していました。以前仕事で来たとき、ランチで入ろうとしたら飲み屋風だったので北口店にまわったことを思い出しました。この店内、けっこうアルコールが似合う雰囲気なのです。
食べ終えてお金を払って外に出ると、完全に夜です。駅であずさのチケットを買って、お土産屋さんをぶらついて時間をつぶし、そしてあずさの停車時刻が迫ってきたので改札に入りました。
現地滞在時間2時間半程度の、弾丸旅行でした。