FF16に対する賞賛と失望

FF16をクリアしました。
熱が冷めないうちに感想を書きます。

自己紹介

ゲーム大好き!RPG大好き!FFシリーズ大好き!以上

FF16をどこまでプレイしたか

サブクエスト全クリア・リスキーモブ全討伐・最強装備を揃えた上でエンディングをクリア。DLC2種は未プレイ。トロコン未達。

注意!前置き

これからFF16をやりたいと思ってる人、楽しみにしている人、FF16をプレイ中の人、FF16が大好きな人は見ない方がいいです
この記事はFF16を3割賞賛し、7割文句を言う内容です。
文句パートではネタバレをしています。


【とても良かった点】

◯バトル演出とバトルBGM

バトルの演出面がとにかく最高!光や炎のエフェクトが美しく、とても見応えがある。派手な技で超カッコよく敵を倒すというRPGの醍醐味を存分に味わえる。
PS5コントローラーの細やかな振動機能がフルに生かされていて、攻撃をした時、受けた時に手のひらに伝わってくる振動がリアルで、臨場感と没入感がハンパない。これはプレイ動画を見るだけでは決して味わえない体験だと思う。
バトルで挿入されるムービーシーンでは映像・BGMともに迫力と説得力があって、イベントバトルを毎回楽しみにしてしまう程だった。最新技術を体感できる最高の体験だった。


◯シンプルなアクションとフィールド設計

戦闘アクションはシンプル。ボタンを使う数がそもそも少なく、回避やパリィもガバガバ判定で、シビアなアクションは苦手なので助かった。
ストーリーの目的地は一本道なので大体迷わずに済んだし、ダレがちなラストダンジョンが廃止されていたのもテンポが異様に良くて嬉しかった!

裏返すと、単調な操作のアクションとバトル、一定まで体力を削ればムービーを見てボタンをポチれば勝ち確の召喚獣バトル、だいたい一本道のフィールドで、その辺りの面白さ工夫さを求めている人にはつまらなく感じるだろうなと思った。そこは賛否両論あるだろうし、好みで評価が別れる部分かと思う。


◯忙しい社会人向けの配慮

丁寧すぎるあらすじの記録や世界観解説のテキストが充実していた点は、忙しい社会人向けの親切な設計で良かった。特に相関図。シナリオ進行ごとに10パターン以上関係性や情報が更新され、それぞれの進行度に合わせて全登場人物の心の声まで見れる。ここまで凝っているのは初めて見た…。新しい街に到着したらとりあえず全員のモブの話を聞くタイプのテキスト好きなプレイヤーは嬉しくてたまらないと思う。
また、「サブクエ達成したら一瞬で依頼者の元へ行くボタン」が天才。全ゲーム実装しよう。サブクエのモチベが下がらない良い工夫。


◯FFファンへのサービス

FFシリーズおなじみのワードや敵、召喚獣がたくさん登場する。FF2意識のものが多いように感じて(これは気のせいかもしれない)FF2に思い入れのある古参ファンとしてはとても嬉しかった。
最新作として丁寧にデザイン・造形され直されたFFシリーズの敵、召喚獣、ラスボスの作り込みは本当に見応えがあった。例を挙げるとベヒーモスの筋肉の盛られようはやばかった。こんなん誰も勝てんやろ…みたいな敵を倒せると嬉しさが増す。


◯犬の存在(重要)

相棒として大きくモフモフのワンちゃんが旅に同行し、バトルも行う。犬派か猫派かといえば私は猫派なんだけど、このワンちゃんが可愛すぎる!血みどろのシナリオ(後述)を進めて仲間の誰が死ぬのか裏切るのか分からない中、ワンちゃんはずっと無垢な瞳で傍にいてくれる。不気味な敵と戦ってくれる。どんなに心強かったことか。あと「日本メーカーのゲームで犬は死なんやろ……」というメタ的な安心感も得られた(?)。問題点(後述)で何度も心が折れかけて、ワンちゃんがいなければ最後までゲームをプレイできなかっただろう。最大の功労者です。
ナデナデできたりおやつをあげるアクションがあったり、ワンちゃんにフォーカスしたサブクエがあったりするのも嬉しかった。ワンちゃんの舌が肥えて普通のおやつでは満足できなくなったサブクエ、本当に可愛かった。


【ここからは批判通り越して失望した点】



!!!!メインシナリオに関わる重大なネタバレをしています!!!!




◯とあるおじさんの問題

メインストーリー序盤、永遠と続く「自分がかっこいいと思っているおじさんの一人語り」がキツい。会社でおじさんの昔の武勇伝を聞いて、帰宅してゲームでもおじさんの武勇伝の話を聞かされる。勘弁してくれ。

問題のおじさんはメインストーリー中盤で退場する。おじさんの話をもう聞かなくていいんだ!と喜んだのも束の間、他キャラによるおじさんAGE↑↑のシーンが頻繁に出てくる。退場したキャラを丁寧に扱いたいのは分かるけど、語られるのは妄信的に賞賛するような話でうんざりする。定年退社したおじさんの武勇伝を人伝いに何度も聞く感じ。ダルい。

(上記のおじさんを除いて、シナリオにおじさんがとにかくいっぱい出てくる。中盤以降の主人公はおじさん、仲間もおじさん、助けにいくのもおじさん、モブもおじさんが多いし敵もおじさんが多い。こんなおじさんまみれのRPGは見たことがない。でも良い感じのおじさんもいてまだ許せたため、おじさん大量シナリオを問題点とはしない。)


◯裸の男女の問題

裸の男女が絡み合うシーンがあって最悪。しかもシナリオ中、わざわざ別の男女で何度もある。プレイヤーはかなり気まずくなる。FFでやる必要ありました?真剣な話をするときは服を着ろ!全裸でシリアスすな!

とある敵のおじさんが全裸で、全裸の自分の母親(の幻影)に縋るシーンがあって、それは流石にキモすぎるわ……となった。問題なのは、このおじさんが人類最強クラスに強い設定で、強大な敵として主人公の前に立ちはばかる(服は着ている)。どんなにカッコよげなことを言われても「こいつマザコンやしな……」みたいな冷めた目でしか見られなくなる。ストーリーが純粋に楽しめなくなってつらかった。


◯ストーリー演出のダサさ

セリフが冗長なものが多く、無駄に同じことを伝える長い長いお喋りシーンが頻繁に入る。また、ムービーを長時間見るゲームなのにムービーがダサくて苦しい。以下、例。
・特に、ここぞとばかりに何度も流れるFFメインテーマが絶妙にダサい。何回も流されると安っぽく聞こえた。ファンが喜ぶと思ってる?
・メインテーマ以外にもストーリー中に流れる曲の入れ方がとにかくダサい、構図もセリフも何もかもダサい(曲自体は質が高いのに...)。
・キャラが死ぬ直前にそのキャラが元気だったころのダイジェストが流される。ダサい。
・伏線回収するときに、伏線となる過去に流したムービーシーンのカットをコピペして丁寧に流してくれる。テンポが悪くてダサい。覚えてるんで……。
結果、メインストーリーの長いムービー鑑賞が苦痛なものになり、セリフを聞きながら大半グラブルをしていた。

とはいえグッとくるシーンや感動した部分も少なからずはあった。バイロン卿との再会や、ジルから力を奪うシーンは涙目になるくらいは心が動いた。全てがつまらないわけではなかった。残念な部分が多くてつらいだけ。


◯メインストーリーの内容

上記で書いた通り良いシーンはいくつかあったが、肝心の根本のストーリーがさして面白くなかった……。プレイヤーで予想できる範囲のことを追っていく感じで、意外性もどんでん返しもない。割とずっと暗くて悲惨。生きている人間より死体の数が多いゲーム。グロいシーンも多い。
陰鬱なシナリオは他ゲームにもあるけど、FF16は陰鬱パートに対するカタルシスがさほど無いのも面白くない原因になっていると思う。ゲームを進めれば進めるほど「この絶望が希望になることはないわな......」と気持ちが沈んでいく。この失望感はエンディングで頂点に達する。後述にて記載。


◯登場人物の問題

キャラが脚本に動かされている感があって感情移入できず、ずっと心冷え冷えだった。肝心なところで戦闘力があるはずのキャラが全く動かず、結果人が死んで、お涙頂戴シーンに入ることが多い。「いやお前さっき動けたやろ...何見殺しにしてんねん...」となっていた。
また、主人公の世界を救う動機も他人の思想(先輩武勇伝おじさん)に依存しているので説得力に欠ける。このあたりも脚本最優先感が強い。

とはいえサブクエで滅びゆく世界に残された人々の結束感や絆は丁寧に描かれるので、世界は救わなあかんな!という気持ちには一応させてくれる。サブクエの脚本のクオリティは全体的に高めに感じた。
(サブクエ脚本とメインストーリーの脚本は別の人なのか…...?)


◯マップやフィールドの問題

世界はずっと暗い。拠点も外も物理的に暗い。人種差別が蔓延しているのでついでに精神的にも暗くなる。
明るい場所は砂漠フィールドしかなく、それもすぐに物語の進行で物理的に暗くなる。正直冒険していて気が滅入る。明るく美しいマップとか一つもない。余談だが原神とFF16を交互にやっていた時期があり、フィールドのあまりの明度の差に自律神経が狂いそうになった。
また、拠点内にスキップトラベルが無いのがかなりのストレス。武器屋やアイテム屋、強敵掲示板や報酬受け取り窓口が離れているので徒歩で移動するのに地味に時間がかかり、やり込む人ほどストレスになるように思う。

加えてミニマップがない。方向音痴な自分も悪いがいちいち地図を開かないと行くところが分からなくなるのがストレスだった。画面UIをシンプルにしたい制作側の拘りが空回りしてユーザーをイラつかせている。

あと……チョコボ乗る時にいちいち2ボタン押させるのアカンやろ!スティック押し込みでチョコボを呼んで、プレイヤーから近寄って、×ボタンで騎乗するのだが、チョコボはプレイヤーから若干離れたところにヌルっと出現するのでうまく×ボタンで騎乗できずチョコボの周りを飛び跳ねるおじさん(主人公)がしょっちゅう爆誕する。フィールドでは常にチョコボに乗りたいところだが、宝箱を取るときや敵と戦うとき、イベントシーンではチョコボから強制的に降りるので上記のアクションを頻繁に行うことになる。ピョンピョンおじさんになるのはかなりのストレスがあった。1ボタンで乗らせろや!

上記のチョコボ然り、ミニマップ廃止然り、体験にリアリティを持たせようとして失敗している箇所が多々ある。難しいところかもしれないけど、プレイヤーのストレスになってゲームをやめられたら本末転倒ではと思う。



!!!ここからはエンディングのネタバレを含みます!!!



◯エンディングの問題点

端的に書くと、主人公とその仲間が世界のために犠牲になって生死不明のまま終わり。主人公はほぼ死亡しているような描写。生きてるか生きてないかは曖昧にしておくからあなた自身で決めてね!と言われるようなエンド。ラストの解釈をユーザーに放り投げるようなものに。
もっと具体的に書くと、ラストバトルに置いて行かれて主人公(飼い主)が戻って来ず悲しそうに吠えるワンちゃんと、泣き崩れるヒロインが描写されて終わり。ワンちゃんは一度主人公と10数年生き別れになっており、その間ストレスで前足を噛む癖が出てしまった......みたいな描写があったため、本当に心が痛い。せめてワンちゃんだけは幸せにしろや!あまりにも救いが無い。
(ヒロインは日の出を見てほんのり明るい顔をし、巷では主人公生存フラグと考察されているらしいが、たったそれだけで主人公が生きていると私は解釈できなかった。)

似たようなシナリオの締め方をしたコンテンツは多々見たし、主人公が死ぬ系RPGは珍しくもないけれど、あれだけ無事に帰って来てねと送り出されて、戻ってきたときに果たす約束も沢山して、仲間との絆を描写されただけあって、後味が悪すぎる。
決してハッピーエンドを望んでいる訳ではない。50時間悲惨で残酷なストーリーを耐えながらプレイして終わり方がこれかよ......と落胆してしまった。

一応幸せな未来?のモブ?子孫?がスタッフロールが終わった後に一瞬登場して、主人公たちは生きていたかもしれませんね。世界は平和になってるっぽいです。的な描写で締めくくられるけれど、主人公の生死はどうでも良いとして世界が滅びそうになっている問題が山積みの中、どうやって平和になったか何も描写されない。主人公たちが犠牲になったのにリターンが薄いから理不尽に感じるのかもしれない。
最初から最後までいろいろな自己犠牲おじさんの話。お涙頂戴されて冷め冷めになってしまった。

(とあるFF作品のオマージュを感じるが、他の作品をネタバレすることになるので割愛。似せるにしても描写不足で安っぽい、というのが正直な感想。)

〇総括

・おじさんがいっぱい出てくる最初から最後まで暗いゲーム
・映像技術は凄い
・犬が可愛い
・良くも悪くも大人向け
・作り手の拘りが好みに合えば神ゲー


青少年たちのワクワク感溢れる冒険はFFメインタイトルとしてもう作らないのか?作り手も売り手も受け手も高齢化が進んでいるのを実感。寂しい。

とはいえFFシリーズはずっとファンなので、次回作も楽しみにしている。
スクウェア・エニックス、がんばれ。


最後までお読みくださりありがとうございました!

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