ニーグリップ、通説と違うんだけど?
ライディングテクニックというか、運転技術というか・・・
あ、この2つは日本語と英語の違いってだけで同じ意味でしたね(自爆)。
呼び方はどっちでもいいんですけど、教習所でもバイク屋さんでも、
誰もが口にする『ニーグリップ』という、言ってみればバイクを運転する上での基本中の基本とも言えるテクニック、これに関しては僕の中でとても大きな違和感になってまして・・・。
これは44年前にオートバイに乗り始めた頃から持ち続けていた違和感なのです。
僕が初めて中型二輪(今の普通二輪)免許を取得する時は教習所に通いました。
40年以上も昔のことなので記憶は定かではありませんが、教官は口を揃えて『ニーグリップ』を提唱していたと思いますし、
当時、バイク乗りのバイブルとも言えるバイク雑誌にもその言葉はことあるごとに登場します。
『膝でバイクを挟む』、だからニーグリップと覚えました。
初心者のうちは、まぁ何の疑いもなく膝を閉じるようにして素直にタンクを挟んでいたものです。
が、経験年数を積めば積むほどに違和感は大きくなり、あるところで決定的になりました。
『ニーグリップの本当の意味は膝ではない』
これが僕の結論でした。
「膝でタンクを挟む」ことが目的であるかのように理解していたことが
そもそもの間違いの始まりだったのです。
体重移動や車体の安定、安定した乗車姿勢などを保つためにすべきことをした結果としてニーグリップができている形になるというだけのことであって、これは単に『膝でタンクを挟む』というのとは 「根本的に意味も目的もやり方も全部違うじゃん!」 ということに気付いたわけです。
僕なりに体得したニーグリップを、僕なりの表現で説明するとこういうことです。
ある程度速度の乗るコーナーリング
コーナーリングを始める時には重心をイン側へと傾けます。
ですので、アウト側の足全体を使って自分の体重を支えていないと
乗車姿勢を保つことができません。
状況によって違う対応をすることもないわけではありませんが、
基本的には外足の内側くるぶし辺りから膝にかけての全部と、
膝の内側から内股の全部に自分の体重を預けた状態でバイクをホールドします。
が、これは自分の体、つまりコーナーリング中の姿勢を維持するということでもあります。
しかし、走る場所はサーキットではなく公道です。
コーナーリング中にリアブレーキを使うことや外足荷重でバイクの微妙な挙動をコントロールしないといけない場面もあります。
その時に外側のステップに踏ん張りが利かないと
「転ぶも転ばないもバイク任せ」 ってなことになりかねません。
それでは困りますので、外足の内側全部で自分をホールドしていながらもバイクのコントロールはステップに乗せた足の裏にしっかりと体重をかける事もしなければなりません。
これをやろうとすると結果的にニーグリップが完成してしまうわけで、膝をおっぴろげた状態でこんな芸当は僕にはできません(笑)。
峠を長時間走ると左右にこの動作を何度も繰り返すので翌日足が筋肉痛になることも珍しくありません。
実際、リターンしてしばらくは筋肉痛が何日か続きました。
低速域でのターン
ここまではある程度スピードのあるコーナーリングでの話ですが、それなら低速域ではどうか?
極端かもしれませんが歩くほどのスピードで最小半径Uターンをするとしましょうか。
バイクは内側へ大きく傾けてやることでハンドルがロックするかそれに近い所まで勝手に切れてくれます。いわゆるセルフステアの状態です。
しかし、ごく低速ですのでバイクにかかる遠心力はほどゼロです。
遠心力がないので内側へ傾けたままの状態だと、バイクはそのまま内側へ倒れてしまいます。
そうならないように自分の体は外側へ体重を移すことでリーンアウトの姿勢を作ります。
この時、自分の体重はバイクのどこにかかるかというと外側のステップにほぼ全体重が乗ることになります。
言い換えると、外側ステップを軸にして内側にバイク、外側に自分がいることで左右のバランスを保つわけです。(よくやじろべえに例えられます)
また内側の足はステップには着かないと思います。リーンアウトの姿勢になっていると足の角度から言ってもステップに内足は届きませんし、もし届いたとしてもやじろべえのように自分が外側に体重を移してバランスを取る必要があるので、内側ステップに体重を乗せるわけにはいきません。
この時もやはり、外足のくるぶしあたりから下をステップに踏ん張るようにして外足荷重を作り、膝の内側、内股と足全体で自分の体重を支えます。
結果、ニーグリップの完成です。
一本橋でのニーグリップ
これこそが最もニーグリップの意義と存在を実感しやすい場面ではないでしょうか。
2つのケースをイメージしてみてください。
1つは自分の全体重がバイクのシートに乗っている状態
もう1つはステップに自分の全体重が乗っている状態
さて問題です。
重心位置が高い所にある物と重心位置が地面に近い所にある物とを比べたら、どちらの方が倒れやすいでしょう?
正解は誰もが知るところなので省略しますが、歩く速さにも満たないほどのスピードで動くバイク、
シートに体重 と ステップに体重 なら、ステップです。
さて、一本橋には先述のコーナーリングにも通じるもう一つの重要なテクニックがあります。
一本橋上で体重移動によってハンドルの微妙な動きをコントロールしようとしてニーグリップする人は殆ど成功しません。
目線をハンドルやバイクの直前ではなく一本橋の終端あたりに向けて
バイクではなくて自分自身を一本橋の終端へ向かわせるような感じでステップの荷重加減を調整してやるのです。
もちろん、ハンドルは決して操作せずにアクセル操作とクラッチレバーの操作だけにしてそれ以外は完全に脱力します。
これを円滑にできるようにすると、それは自然とニーグリップの形になりますが、必ずしも膝が閉じていることが大事なのではなく、足の裏で下方向にかける荷重とくるぶしあたりで横方向(バイクのフレームに足を押し付けるような感覚)のバランスを取りながら真っすぐに一本橋の上に自分自身を乗せるイメージが大切です。
もちろん、シートにどっかり座っているとこの微妙な荷重調整はできません。大袈裟な言い方をすれば、お尻はシートに触れているだけでシートには殆ど体重が乗らず、全体重は両足のステップに乗っているくらいで丁度よい感じです。
教習所のスラロームやクランク、波状路、一般道で急な障害物を避けるような場合、急制動から急ハンドルを切るような場合、凄く短い僅かな時間ではありますが、これらの足を使った荷重のかけ方や膝の使い方を無意識のうちにやっています。
無意識にできていない場合は恐らく、事故にはならないまでもバイクの挙動や乗りての動きがギクシャクしたりスムースな動きができないなどのことにつながるはずです。
いざという時には正しい回避動作ができにくい可能性もあります。
こう考えると、ニーグリップが重要だという「通説」と実体験とが一致しないようにも思えますが、
実は通説が言うところのニーグリップとは、僕が言うところの「足を使った結果がニーグリップという形で現れる」
という理解で合っているはずだという僕なりの見解になったのでした。
長いばかりで意味不明かもしれませんが、もし機会があれば実車で写真か動画でもアップできたらいいなと思っています。
※読んでくれた人に伝わっているか、、、不安です(苦笑)
読んでいただいた皆さんにお願い
ここに描いたニーグリップに関する記事は、間違う事を恐れずに自分の感性、自分の経験を基に1つ1つを自分で確かめた結果を論拠にしていますし、
今の時点での僕の中の結論です。
言い換えればこれが正しいのかどうかを客観的に検証した人はいないということでもあります。
この記事を読んでみて 『参考になった』 と思ってくれる人がいたとしたらそれはそれで嬉しいことですし是非役立てて欲しいと言う気持ちです。
しかし、『少し違うよ』 とか、『これはこうした方が良いんじゃないか』 というご意見、コメント、反論を持つ人がいたとしたら、そのご意見は
是非聞かせて欲しいと思います。
何故なら読者の人には正しくない情報を伝えるべきではないと思うからですし、間違いがあれば後で修正/訂正してでも正したいというのが本意なので、もし意見があれば是非コメント欄にお願いしたいと思います。