![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/162175330/rectangle_large_type_2_bb262bb5d4a72aab6159cc6afd01f65d.png?width=1200)
【発達障害短編小説】異能の輝き〜第15章 潜入〜
第15章 潜入
翌日、葵たちは嶋田の計画に従い、政府の超覚醒者追跡部隊の本部に向かう準備を整えた。
嶋田の指示で街中から外れたルートを使い、誰にも気づかれないように静かに進んでいく。
「到着したら、まず監視カメラを消去する。そ
れから内部に侵入するが、時間は限られてい
る。できるだけ速やかに行動しなければならな
い」
嶋田が厳しい口調で言った。
彼らが到着した基地は、灰色のコンクリートで覆われた無機質な建物だった。
周囲には高い塀と監視カメラが巡らされ、武装した警備員が配置されている。
「ここが奴らの本部か…」
大和は苦々しい表情で呟いた。
嶋田が静かに手をかざすと、目の前の監視カメラが一瞬で消え、塀の一部も一時的に消失した。
「今だ、行くぞ!」
嶋田が叫ぶと、全員が一斉にその隙間を通り抜けていく。
内部は異様に静まり返っていたが、それが逆に不安を増幅させた。
彼らは廊下を進みながら、慎重に進んでいった。
しかし、途中で真奈美が足を止め、周囲を見渡す。
「何かがおかしい…」
真奈美が呟いた。
葵も違和感を覚えた。
未来予知の力を使ってみたが、見えるはずの未来が曖昧で、全体像がつかめない。
まるで自分の能力がかき乱されているかのようだった。
「待って、これ罠かも…!」
葵が叫んだ瞬間、突然警報が鳴り響いた。
「奴らに気づかれていたのか!」
大和が叫びながら、周囲に警戒を広げた。
廊下の両側から次々と武装した追跡者たちが現れ、包囲網が狭まっていく。
嶋田は再び消去の能力を発動させたが、今回は何かがうまく働いていないようだった。
敵の数が多すぎるのだ。
「葵! 未来を視て、出口を見つけろ!」
真奈美が指示を出す。
葵は焦りながらも、必死に未来を探ろうとした。
しかし、混乱した映像が彼女を襲い、はっきりとした答えは見えなかった。
「私たち、どうすれば…!」
葵は混乱しながら叫んだ。
その時、背後から低い声が響いた。
「どうやら、ここまでだな」
葵たちの前に現れたのは、黒い装甲に身を包んだ一人の男。
彼の冷たい目は、まるで全てを支配しているかのように静かに光っていた。
「ようこそ、我が基地へ。ここで全てが終わる」
彼は、追跡者たちを統率する指揮官、その名を**黒木(くろき)**と呼ばれる人物だった。
次回、「第16章 黒木の正体」