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【読書感想】右園死児報告

読書感想・・と言いつつも、この小説は下手に語ると楽しみが損なわれてしまう系なので、
そういうのが嫌な方、もしくはタイトルだけでビビッときた方は、ぜひこの先を見ずに書店で買うか、カクヨムにて公開されている文章をお読みください。




とは言いつつもちょっとは語りたい

右園死児は「うぞのしにこ」と読み、この文字列を人物、動物、無機物等、あらゆるものの名前として採用してしまうと壊滅的な被害が出てしまいます。そんな右園死児について明治二十五年から続く政府、あらゆる組織、探偵、一般人等からの報告をまとめた報告書群がこの書籍。
引き起こされる壊滅的な被害の内容は、人は死に、無機物は崩壊し、それにとどまらず様々な害を引き起こします。

ということでジャンルとしては「ホラー」なのですが、ガッツリホラーな内容かと言われるとそうでもなく。書籍内に写真やイラストなどはなく文章のみですのでホラーが苦手という人でも読みやすいです。SCPの報告書やTaleを読めるなら問題なく読めます。

ここまででちょっと気になってきた方は、先のカクヨムにて連載された小説を読みに行くか、以下のインタビュー記事を見てみるとよいでしょう。

ここから先はネタバレが含まれます







発売されたこの書籍の「右園死児報告」ですが、報告書の体を取って右ページに報告書のタイトルと報告者名、そして左ページの隅に「右園死児報告」のスタンプと、書籍であることを生かした演出がなされていてとても良い雰囲気になっているのがとてもよかった。
更にカクヨムにはなかった新規の報告書も追加されていて、あちらを読んだ人も飽きさせないつくりになっているのも良いところ。

後半の展開にはびっくりした方も多いようで、感想をちらほら見るとそこが好きという方もいれば、この展開は嫌という人もいるようですが、私はかなり好きなほうでした。
SCPがわかる人向けですが、「Kalininの提言」を思い出すような熱さがありましたね。

先に貼ったインタビュー記事内にもありますが、この展開は意図した通りとのこと。実際読んでいても「いつの間にかアクションモンスターホラーになっている!」といった感じで、見事な話の作りだと感じました。

登場キャラクターとしては神谷修二、大西真由美、田島茜、エツランシャあたりがいいキャラしていて好きです。

以下余談

こちらの小説の初出は上記のカクヨム・・ではなく、著者「真島文吉」さんのツイッター上にて展開された小説です。そのころは知る人ぞ知るといったものだったので、これが書籍になると聞いたときはかなりびっくりしました。

私はこの方の文章が大好きで、どのあたりが大好きなのかといえば、文章からほどばしるパワーです。
たまに小説を読んでいると「物語に引き込まれる面白さ」というのがありますが、この方のはそれを超えて「物語に引き込んでやる」という暴力的なまでに夢中にさせてくる面白さがあります。今作もそれは健在でグイグイ引き込まれて一気に読んでしまいます。
この感覚を長年うまく表現できなかったのですが、今回の「右園死児報告」の感想をめぐってみると「破壊的激流に呑まれる読書体験」というものを目にしました。とても良い表現だと思います。

そんな感じで追い続けてもう十年以上なのですが、今回の「右園死児報告」は世間的評判も高いようで、発売前に重版、そして発売後にさらに重版と非常に好調なようです。長年のファンとしてはとてもうれしいことです。本当におめでとうございます。

そんな中「漫画化してほしい!」だの「映像化待ったなし!」という感想が出ていますが、「いやそれはどうだろ‥」と思ったり。
飛ぶ脳髄とかちょっとイラストや映像では見たくないな・・
まぁでも京極夏彦の「魍魎の匣」は見事に漫画化されていたし、あれくらいのグロさなら見れなくもないので、いい感じになってくれれば見てみたいところです。個人的にはラジオドラマな感じならばぜひ聞いてみたいですね!

まだまだ書籍も盛り上がりそうですし、カクヨムのほうでは過去にツイッターにて連載していた小説を連日公開しているのでこちらも目が離せません。
今後の展開を楽しみにしています!

https://mypage.syosetu.com/437718

真島文吉さんは「小説家になろう」のほうでも別作品を書かれているので、気になった方はどうぞ。

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