「凷」「弁」「危」「屆」「遺」「貴」の字源考察


仮説

「凷」の字源

  • 籠を象る。
    「かご」を意味する漢語{/*gruj-s/}及び{/*bron-s/}を表す字。
    仮借して「つちくれ」を意味する漢語{/*kʰˤuj-s/}に用いる。

「弁」の字源

  • 籠()を手に持ったさまを象る。
    「かご」を意味する漢語{/*gruj-s/}及び{/*bron-s/}を表す字。

「危」の字源

  • /*KUJ/」+加注声符「/*KUJ/」。
    「ひざまずく」を意味する漢語{/*g(r)ojʔ/}を表す字。
    仮借して「あぶない」を意味する漢語{/*ŋ(r)oj/}を表すのに用いる。

    • 」がもと{}を表す字だったが、声符「」を加えた。

「屆」の字源

  • 声符「/*KUJ/」+義符「尸」。
    原義は不明。
    仮借して「きわみ」「とどく」を意味する漢語{/*kˤrit-s/}に用いる。

    • 中古音に変化した後の形声文字である。
      」{/*kʰˤuj-s/ > /khweajH/}
      」{/*kˤrit-s/ > /keajH/}

「遺」の字源

古文字中で「うしなう」を意味する漢語{/*ɢ(r)uj/}を表す字は複数存在する。

  1. 手からものが落ちるさまを象る。(ここでは「𠀐」とする)

  2. 𠀐」+加注義符「」。

  3. 声符「/*KUJ/」+義符「」。

「貴」の字源

古文字中で「(価値が)たかい」を意味する漢語{/*kuj-s/}を表す字は複数存在する。現在の「」はこれらの字形が混同・統合されたもの。

  1. 声符「𠀐/*ɁUJ/」+義符「」。

  2. 声符「/*KUJ/」+義符「」。

参考


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