テーブルフォトも人生も、準備できるひとになりたい #AURORA写真塾
こんなにも美しい実用書があるのか」と、時間を忘れるほど魅入ってしまい、ページをめくる手が止まらなかった本がある。
書店の棚の前で、わたしの目を釘付けにしたのは、フォトグラファーNana*さん著書「the moment of SLOW LIVING 写真で紡ぐ、暮らしの時間」だ。
瑞々しい食材や花、手元においておきたくなる魅力的な器、珈琲を淹れるときに沸き立つ湯気など、おいしそうな日常を切り取った写真。
育休中、育児の隙間時間に、何度もこの写真集をひらいては癒されていた。
再現性のある写真の撮り方の解説は、丁寧かつ濃縮されており、カメラを使ってすぐに試したくなる。
そんな時に偶然目にしたのが、AURORA写真塾というNana*さんが講師を務めるテーブルフォトのレッスン。今年の4月から参加している。そして、準備の重要さの壁にぶつかっているのである。
“仕事で作品を撮りに行くときは、準備が9割を占めています”
初回の講座で、このメッセージをNana*さんから受け、写真塾では「こういうものを表現したい」と完成形のイメージを固めて、作品を撮っていくと決めた。
「なんとなく」の雰囲気で、写真を撮らないことも誓った。
にもかかわらず、これが中々難しい。
講座ではテーマ毎に、持参する被写体が指定される。どの被写体を選んで、写真を撮っていけばよいのかいまだに迷走しているのである。
準備とは、「なにをどう表現したい?」までがセット
光の使い方を学ぶときの被写体は、フルーツだった。
どの果物にしよう、カットはすべき?そのままがいいの???と悩みすぎて、オレンジやキウイ、いちご、りんごは赤と青も買った。フルーツバスケットができそうな勢いである。
Pinterestで参考画像をさがすも、ぼんやりとしたイメージしか湧かないまま、当日を迎えた。
「では、撮り始めてください」
先生の合図ではじまる撮影時間に、最初はとまどってしまった。
どう立ち振る舞って、スタイリングもして、他の受講生とフォトスペースをシェアすれば良いのか、と考えすぎて立ちすくんでしまう。すでに写真を撮り始めている方々は、堂々とされているし、スタイリングも早くて、経験値が違いすぎる……!と、しょんぼりした。
被写体をただ持っていくだけでは、やっぱりダメだったなぁ。と、他の受講生を見て、反省もした。スタイリングや構図までも意識されていて、迷いがなさそうにみえる。
その一方でわたしは、とりあえず持参した器にイチゴを盛るという、「なんとなく」形にしたスタイリング。
いちばん避けたいと誓った状況におちいって、へこみながらも、いちごのツヤ感を出すことだけを意識して撮ってみる。
うまく表現できなかった写真:
成功したと思われる写真:
果物を買いすぎてしまうのも、ぼんやりとしたイメージでスタイリングを作ってしまったのも、自信がなくて、完成図から逆算して準備ができていないことが要因だと思う。
次はラフ画をかいて、「表現したいもの」は何かを明確にして挑もうと心に留める。
想像以上に先生が言っていた"準備”は、難しいことを痛感した1時間になった。
他の受講生の方の素敵なスタイリング
この講座の帰りにふと、高校時代の大学のAO入試のことを思い出す。わたしなりに精一杯対策をして、化学の知識を詰め込んで、事前準備をして挑んだ試験。
それなのに、全然うまくいかなくて力が及ばなかったことがよみがえる。
はじめて訪れた大学の実験室。
「今からここにある器具と薬品を使って実験をしてください。レポートも書いてくださいね。時間は1時間ですよ。」と、大学の教授から言い放たれた課題。
「え、ひとりで実験なんてしたことないよ!」と、当時17歳のわたしは狼狽えた。
化学の授業で、実験は何度もしたことはあるけれど、どれも教科書や手順書通りに沿ったものだった。ひとりで出来上がりをイメージして、これまでの知識を引っ張り出しながら、手順を決め、淡々と作業を進めながらレポートを書くことは、やっていない。
そのときは、手探りながら実験を進めたけれど、時間内に完遂すらできなかった。あれだけ、準備してたのになぁと、大学をでて乗り込んだJRの中では、悔しくて泣いた。
万全の準備をしていても、ときには方向性が異なっていることや、想像していなかった出来事に直面し、活かせないことがある。
準備について、辞書を引くとこう書かれている。
AURORA写真塾を通して、完成図をしっかりとイメージして、すぐに動ける自分でありたいと強く思う。失敗したことは、糧にして、復習や練習を重ねて次に繋げていけばいいよね。
AO入試と違って、写真塾では先生のご経験から得られたノウハウを惜しみなく披露してくださる。
そして、受講生の方からは、写真や感性だけでなく、人柄から心豊かさや大切なことも学ベると感じている。
最終的には、「自分の思い描く写真」を撮れるようになりたい。誰かの心をわずかでも魅了することのできる作品を創り上げていきたい。わたしが、Nana*さんの写真をみて癒されたように。
これからの写真塾では、失敗もたのしみながら、自信をつけていく時間にしたい。
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