▼目次 ■01 幕開け ■02 蝋燭と少女と人形と ■03 それは邂逅
羽根が、舞う。 一羽の小鳥が、地面に堕ちた。 羽根を折られ、不自然にひしゃげた首。 しなやかなラインは、血に染まる。 それが、冴が初めて見る『死』というものだった。 彼女は動かなくなったそれをすくい上げる。 驚くほど美しい真紅は、冴の衣服にシミを作った。じわりと、広がる朱。 小鳥は、あっけないほど簡単に、死んだ。その生を散らせ、ただの物体と化す。 「冴?」 声が降ってくる。 甘い、粘着力のある高い声。 それは冴の身体を這い、執着なほどに絡みつく。
この部屋を照らす光は、淡く灯った蝋燭の炎だけ。 部屋の中央に横たわるそれは、細巧に作られた、不完全な人形。 一瞬、人間と違えてしまいそうなほど鮮明に創られたそれは、ぞっとするほど美しかった。 カツンと、靴底が鳴る音が響く。 青年がゆっくりと人形の傍に寄り、そのまま視線を落として髪を梳いた。金糸のように細く柔らかい髪。 薄っすらと青白く映し出された輪郭をなぞる。 人形は、動かない。 彼は、手の中で淡い光を放つ球体を、そっと人形の上に置いた。するとそれは、吸い込ま
人を人形に変えてしまう者達がいる。 醜く生に縋る人間を弄ぶがの如く――――― 彼女の足は逃げるためにある。 まだ走れる。 走れなくなったら、それは彼女が消える時。 だから少女は、走り続ける。 「はぁ・・・はぁ、は・・・ぁっ」 息を切らせ、顔を歪ませながら、それでも少女は懸命に駆け抜ける。 すでに少女はパニック状態に陥っていた。 腹部を押さえ、ひたすらに走る姿は、狂気にすら見える。 彼女は今、生きるために逃げている。 死にたくなかった。何より死を恐れ
ドールのトップを変更しました。 それに加えて、少しずつ加筆修正していた部分と、今まで書いていた部分とのズレが生じてきたため、未修正の方を一時的に撤去しております。 こちらは加筆修正ができ次第upしていく方向であります。誠に申し訳ございません(土下座 しかしながら、タイトルつける才能が無さすぎて辛い・・・