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[要旨]

自分でやった方が早いと考える方は少なくありませんが、それは、結局は、ひとりよがりの考え方であり、特に事業活動においては、発展的な活動にはつながりません。したがって、時間は要するものの、大局的な視点を持ち、部下などに仕事を教えたり任せたりという活動は、特に、経営者には必要です。


[本文]

心理カウンセラーの小倉広さんのご著書、「自分でやった方が早い病」を拝読しました。この、「自分でやった方が早い」はよくないということは、多くの方がご理解されながら、なかなか改善できないでいると思います。そういう私も、この病気の患者です。そこで小倉さんの本を読んでみようと思ったのですが、この分野の本は、ノウハウや改善手法が中心的なものであるのに対し、小倉さんお本は、心構えが中心的なものでした。

例えば、自分でやった方が早いと考えてしまう人は、自分だけがよければそれでいいと考えている人だと小倉さんは指摘しています。これに対して、みんなで活動しようとしても、積極的になってくれる人はあまりいないから、結局、自分ひとりで活動してしまうことになると、反論する方もいるでしょう。これについて、小倉さんは、周りの人が積極的に動かないのは、自分の魅力が不足していたり、依頼の仕方に問題があると指摘しています。

この指摘については、納得できる人と、そうでない人がいると思いますが、例えば、経営者として成功している人は、人間的魅力もあるし、依頼の仕方もうまいということは事実だと思います。だから、自分でやった方が早いと考える人は、頼み方のスキルや、自分の魅力を高めることを避けて、自分でやってしまうことを選択していいるとも言えると思います。

さらに、小倉さんは、稲盛和夫さんの言葉として、「小善は大悪に似たり」という言葉を紹介しています。稲盛さんのいう「小善」とは、「上司と部下の関係でも、信念もなく部下に迎合する上司は、一見愛情深いように見えますが、結果として部下をダメにしていきます」ということでです。そして、「信念をもって厳しく指導する上司は、けむたいかもしれませんが、長い目で見れば部下を大きく成長させることになり、これが大善です」と稲盛さんは述べておられます。

すなわち、自分でやった方が早いという考え方は、小善(=大悪)なので、大善の考え方を持つべきということなのでしょう。とはいえ、大善の考え方で活動することは口で言うほど容易ではありません。でも、特に、経営者の立場にある方は、大善の考え方で活動することは大切だと思います。

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