事業スキルとマネジメントスキル
[要旨]
現在は、事業活動に関するスキルよりも、事業のマネジメントスキルの方が重要性が増しています。したがって、自らの事業に関するスキルを活用したいと考えて起業した方は、マネジメントスキルを身に着けるか、マネジメントスキルを持っている人に、自分の事業スキルを発揮できる仕組みづくりを委ねるとよいでしょう。
[本文]
経営コンサルタントの石原明さんのポッドキャスト番組に、イーメディック社長の小島幹登さんが、ゲスト出演されておられました。小島さんは、現在、化粧品通販、健康食品通販、医薬品通販、美容クリニック、歯科クリニック、泌尿器科クリニック、速読教室など、様々な事業を手掛けておられますが、小島さん自身は、すべて同じことをしている認識だと、番組の中でお話しておられました。すなわち、最終需要者の困りごとを解決することを事業として認識すれば、すべて同じだということだそうです。
さらに、クリニックで患者の具合をよくしようとする場合、自分が医師免許をとるなどして、医師として患者を診ることになれば、それを実現するまでに相当の時間を要することになるが、すでに高い技術を持っている医師に患者を診てもらう仕組みをつくれば、自らが医師になるようりも大幅に時間を短縮でき、事業も効率的になるということもお話しておられました。最終需要者のニーズを満たす方法には、起業した人が、直接、自らそれに携わる方法と、すでにスキルを持っている人を、最終需要者をつなげる方法があることは、すでに多くの方がご存知と思います。
そして、事業規模を大きくしようとするのであれば、後者の方法でなければ不可能ということも、当然のことです。しかしながら、小島さんのような考え方、すなわち、経営者として仕組みをつくることに徹するということを実践している方は、まだ、少数だと思います。それは、起業しようとする方の多くは、自らが事業に携わることが、起業のモチベーションになっているからでしょう。
私は、そのことに問題はないと、これまで考えていたのですが、これからは、小島さのような考え方をして事業に臨んでいないと、競争に敗れて行く時代になっていると考えています。例えば、コンビニエンスストアや、ファストフード店などでは、同じ業種でありながら、業績の優劣が顕著になってきている理由は、事業そのものよりも、仕組みとしてのサプライチェーンの構築手法や管理手法の精度の高さが、業績の差となって表れているからだと思います。
したがって、このことは、これまで私が繰り返して述べて来ていることですが、事業スキルを持っている起業家の方であっても、現在は、マネジメントスキルもあわせ持つことが求められる時代だと思います。もし、マネジメントスキルに自信がないという起業家の方は、小島さんのようなマネジメントスキルを持っている人に、自分の事業スキルを発揮できる仕組みをつくってもらうことの方が賢明と言えるでしょう。
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