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役員貸付金は経営者個人の資産で返済

[要旨]

中小企業の決算書の「役員貸付金」は、なるべく早く、経営者個人の資産で会社に返済し、解消することの望まれます。もし、経営者に手許資金がないときは、個人で融資を受けたり、役員報酬を増額するなどの方法もあります。

[本文]

前回は、中小企業の役員貸付金の多くは、いったん、会社の費用として支出されたものが、事業年度が経過してから、決算処理を行う中で、損金として認められないものを、役員への貸付金として修正されて計上されることによって計上されるということについて説明しました。では、これをなくすためにはどうすればよいのかというと、社長個人の資産で「返済」する方法が最善です。

しかし、社長の手許に現金や預金がなく、直ちに「返済」することができないときは、社長個人が融資を受けて、その資金で返済を行うことが妥当です。それも難しいときは、役員報酬を増額し、その一部を「役員貸付金」の「返済」にあてることが妥当です。ポイントは、なるべく、早く、「返済」することです。

しかし、「役員貸付金」を社長が会社に「返済」することは、何となくおかしいと感じる方もいるかもしれません。そう感じている方は、恐らく、「会社の財布=自分の財布」と考えているからかもしれません。確かに、経営者は公私混同をしてはいけないということは、多くの方が理解していると思います。でも、黎明期の会社にあっては、「会社=社長の分身」という思いで、事業を早く軌道に乗せるために、懸命に働いていると思います。

そう考えると、「会社の財布=自分の財布」という感覚をもってしまうかもしれません。しかし、そうであったとしても、会計に関するルールは、しっかり守らなければなりません。それが守られなければ、せっかく、努力して成長させてきた会社について、銀行などから評価されなくなってしまいます。では、なぜ、評価されないのかということについては、次回、説明します。

2023/9/12 No.2463

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