組織的怠業(サボタージュ)
[要旨]
19世紀後半の米国では、生産性が向上して労働者の賃金が増加すると、管理者側は賃率が高すぎたと判断し、賃率を引き下げる傾向にあったことから、労働者側は、賃率を下げられないよう、集団的にあまり働かないようにするという、組織的怠業が、しばしば起こりました。
[本文]
前回、同調圧力について書きましたが、その後、同調圧力に少し似ている、組織的怠業(サボタージュ)について思い出しました。19世紀後半の米国でのことですが、当時の工場では、生産性が向上して労働者の賃金が増加すると、管理者側は賃率(生産、または、作業単位あたりの賃金)が高すぎたと判断し、賃率を引き下げる傾向にありました。
その結果、労働者側は、賃率を下げられないようにしようと意図するようになり、集団的にあまり働かないようにするということが、しばしば起こりました。これが組織的怠業です。
21世紀の現在では、このようなことはなくなりましたが、かつては、効率的に働いてもらうには、どのような賃金制度がよいのかということを検討する中で、作業の成果に応じて賃金が増える仕組みの、「単純出来高払い」制度が採用されていました。
ちなみに、ハーズバーグの動機づけ・衛生理論によって、賃金の高さは、従業員の不満を解消する要因ではあっても、満足度を高める要因ではないということが、広く、知られています。次回も、賃金と士気の関係について説明したいと思います。