バッティング練習よりうさぎ跳びが大切
[要旨]
業績を高めようとするとき、マーケティングや人材の改善をしようと考える経営者の方は少なくありません。そのように考えることは間違ってはいませんが、特に、中小企業の場合、組織的な活動がうまくできなければ、マーケティングなどだけがうまくなっても、総合的な業績は高くならないということに注意が必要です。
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私は、よく、どういうコンサルティングをするのかという質問を受けます。コンサルタントと言えば、資金調達コンサルタント、マーケティングコンサルタント、人材育成コンサルタントなどの分野に特化したコンサルタントがいます。私も、資金調達コンサルタントとして専門性を発揮できますが、あえてそれを名乗らないようにしています。なぜかというと、中小企業では、特定の分野だけを改善しても、事業は改善できないからです。
例えば、事業改善計画を作成して銀行に提出し、銀行から融資の承認を受けることに成功したとします。しかし、それと同時に、売上を増やさなければならないし、それにしたがって、マーケティングを行わなければならなくなり、さらに、それに対応した人材を育成する必要が生じてきます。
そこで、最終的には、中小企業の基礎的な能力を高めていくということが求められます。具体的には、BSCを導入することが望ましいのですが、そこまでできないときは、PDCAを実践したり、日報コンサルティングを実践していただくということをお薦めしています。これらの改善活動は、遠回りのようで、実は近道です。
ただ、地道な活動は、経営者の方たからすると、業績を高めることとどうつながっているのかということが見えにくいという面もあり、積極的に取り組むべき活動と考えない方も少なくありません。でも、例えば、野球を上手になろうとするには、バッティング練習から始めるより、地味な活動ではあるものの、うさぎ跳びや走り込みのような基礎体力をつけることが重要ということと同じだと思います。
話を戻して、中小企業は、規模が小さいので、特定の分野の能力を伸ばすことより、応用力を高めることの方が、総体として、競争力が高まります。そこで、私は、それに対応し、特定の分野のコンサルティングをせず、基本的な能力を高めるためのコンサルティングをすることにしています。