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会計思考でPDCAを回し会社を強化

[要旨]

公認会計士の安本隆晴さんによれば、ビジネスの基本は、PDCAをうまく回すことであり、そのためには会計思考が重要になるということです。そして、この会計思考とは、競争に勝つために利益を生み出し、お金を残すために会計数字を使って思考する方法ということだそうです。

[本文]

今回も、公認会計士の安本隆晴さんのご著書、「ユニクロ監査役が書いた強い会社をつくる会計の教科書」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、安本さんによれば、決算書は、経営者の1年間の成績表であり、現在の会社の姿を映す鏡と言えるということであり、自分自身では気付きにくい身体の異常値が健康診断で分かるのと同様に、何年か継続して自社の決算書を見ていくと、いろいろな気付きがあるということを、説明しました。これに続いて、安本さんは、会計思考でPDCAを行うと、会社の財務基盤を盤石にすることができるということを述べておられます。

「ビジネスの基本は、PDCAをうまく回すことです。PDCAをうまく回すのは、経営のどの階層でも極めて重要で、経営トップでも、現場社員でも、計画(P)したことを実行(D)し、それを適時にチェック(C)し、差異があれば調査分析して迅速にアクション(A)を起こします。そのときに物差しとなるのが『会計思考』です。会計思考とは、『競争に勝つために利益を生み出し、お金を残すために会計数字を使って思考する方法』のことです。具体的には、『自社の基本的な儲けの構造=損益構造』と、『現金収支の構造=キャッシュフロー構造』がどうなっているかを知り、その両者をどのようにプラスにし、その金額を増やしていくかを考えて実行することです。

顧客のニーズをとらえ、事業の芽を育て、成長させるための経営課題について考え、意思決定し、行動を起こすときに、常に会計的に利益が出るか、お金が残せるか、このままインプットを続ければ、成果(適正で妥当なアウトプット)が出せるかについて、いろんな場面で会計数字を駆使して自問自答してみてください。これが会計思考です。すべての社員が、この会計思考を通じて、PDCAを回すことができれば、財務内容が盤石な強い会社、誇りを持てる会社、絶対に負けない会社になれます。何も、一流大学卒や、MBA取得の人ばかりではなく、普通の能力を持った人々が集まった会社であっても、その社内のチームワーク力は掛け算で大きくなり、無限に広がります」(23ページ)

PDCAは、必ずしも財務活動だけを対象に行うわけではありませんが、検証は主に定量的な評価で行われるので、財務活動以外のPDCAに関しても、結果として、会計リテラシーが求められることになります。そして、安本さんは、「一流大学卒や、MBA取得の人ばかりではなく、普通の能力を持った人々が集まった会社であっても、その社内のチームワーク力は掛け算で大きくなり、無限に広がります」と述べておられますが、私も、中小企業でPDCAを実践することの効果は大きいと考えています。

その理由の1つ目は、短期的に改善を行うからです。具体的には、1か月単位でPDCAを回せば、もし、改善の内容がわずかであっても、1か月ごとに改善が積み重ねられるということです。2つ目は、活動の評価は、主に定量的な数値で示されるので、その改善策も数値で考えることになります。改善策を数値で示すことは、組織の中でそれを客観的に示すことができるので、足並みを揃えて活動しやすいというメリットがあります。3つ目は、VUCAの時代は、目の覚めるようなソリューションを考えることはとても難しい時代になっています。

だからこそ、短いサイクルで、小さな改善を積み重ねることの方が、着実に改善を進めることができ、それが結果として、競争優位に立つことができる近道になります。そして、最後に、安本さんも述べておられますが、PDCAを実践するには、特殊な能力が求められているわけではないということです。ですから、実践するか実践しないかだけのことであり、実践した会社とそうでない会社の差は大きく広がるということです。よく、会社の業績を改善さえるためにはどうすればよいか悩んでいる経営者の方は多いと思いますが、もし、そうであれば、1日でも早く行動することが大切です。

2023/12/31 No.2573

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