PDCAを行動に組み込む
[要旨]
PDCAを実践できない経営者の方は少なくありませんが、その原因のひとつは、行動が計画的ではなく、検証活動を活動予定に組み入れることができないでいるため、それがずっと先延ばしにされてしまうからということが考えられます。
[本文]
かねてから、私は、「経営とはPDCAを実践すること」、「PDCAサイクルをまわすことが経営者の重要な役割」と伝えてきています。これは、正確な表現ではありませんが、会社を強くすることは、事業を改善することであり、改善のための活動の代表的な手法はPDCAの実践なので、そのような言い方をしています。念のために書いておきますが、PDCAとは、Plan(計画)→Do(実行)→See(検証)→Action(改善方法の考案と実施)の一連の流れで、これを繰り返す(PDCAサイクルを回す)ことで、事業が改善されて行きます。
このことについては、大部分の方にご賛同いただけるのですが、でも、どういうわけか、PDCAを実践する経営者の方は、残念ながら、少数派です。そこで、私は、なぜ、重要と理解されているPDCAが、なかなか実践されないのかという、その理由や原因について、ずっと探究してきているのですが、先日、配信された、経営コンサルタントの小山昇さんのメールマガジンに、その答えにたどりつくためのヒントとなることが書かれていました。
「私(小山さん)は、よく『(職場の)環境整備』の重要性を伝えていますが、それは、仕事で使う道具は使いやすいように、また、いつでも取り出せるように、常に整頓しておかないと、成果を出すことができなくなるからです。実は、『検証(See)』ができないのもそれと同じで、『検証を空いた時間にやろう』と考えることは、『行動予定の整頓』ができていない状態なのです。本気で検証をしようと思うのなら、予定表やToDoリストをつくるなどして、『いつ・どこで・どうやって』と、検証を確実に実行するための予定を、きちんと整頓しておかなければなりません」
すなわち、検証したり、改善策を考えたりする時間を、スケジュールに組み込んで、能動的な姿勢で臨まないと、PDCAを実践できないということだと思います。もちろん、計画的に行動することは、自分の意図する通りに行動することであり、PDCAが実践できるようになるだけでなく、いろいろな面で効果が得られると思います。これを言い換えれば、経営者の方の行動が、取引先や従業員などに振り回されてばかりでは、真に実践しなければならない、さまざまな課題が後回しになり、いつまでたっても事業は改善されません。
ここまで書いてきたことは、至って当然のことなのですが、「計画を立てることは面倒」と考えずに、きちんと計画を立て、それに基づいて行動するという基本的なことの重要さを、小山さんのメールマガジンを読んで、改めて感じました。