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[要旨]

鳥貴族は、品質の高い焼鳥を、均一価格で提供することで、顧客からの支持を得て、事業を拡大してきました。すなわち、同社の事業は、焼鳥そのものよりも、高品質の商品を均一価格で提供するという、会社のコンセプトが支持されていると考えることができます。

[本文]

鳥貴族の創業者で社長の大倉忠司さんのご著書、「鳥貴族『280円均一』の経営哲学」を読みました。鳥貴族では、280円(現在は350円)の均一価格で評価を得て、業績を拡大してきたことは多くの方がご存知の通りです。(コロナ禍の間は、営業自粛等の影響により、同社の売上高は減少しています)鳥貴族の均一価格は、外見的には単純な手法のように見えますが、大倉さんには深い考えがあることが分かりました。

鳥貴族の均一価格は、大倉さんが起業する前によく利用していた炉端焼き店の、230円均一価格をヒントにしたそうです。この均一価格は、提供する側としては勇気がいる決断であるということは容易に分かりますが、利用者側に強力なインパクトを与えることができたそうです。もちろん、安かろう悪かろうでは、顧客からはそれなりの評価しか得られません。事実、証券会社のアナリストの方に、鳥貴族は、輸入鶏肉をセントラルキッチンで調理していると思われていることがあったそうです。

しかし、鳥貴族は国産鶏肉を、店ごとに串打ち(具材を串に刺すこと)をしているそうです。さらに、お通しを出さない、地産地消(店舗のある地域からの仕入れを行う)、同業種ではなく中食を販売しているコンビニエンスストアを調査して顧客のニーズをつかむなどの、独自の戦略を採っています。ただ、このような戦略を実践するためには、大倉さんが、「焼鳥屋で世の中を変えたい」という強い信念を持っているからだと思います。

鳥貴族と似た事例として、丸亀製麺がありますが、丸亀製麺も、すでに飽和状態にあると考えられていたうどん店業界に、他の店では実施していない、各店に製麺機を置いて麺を打つという戦略で、ブルーオーシャンを作ったそうです。スターバックスコーヒーも、単なるコーヒー店ではなく、サードプレイスを提供するという考え方で、顧客からの支持を得ています。このように、これからの時代は、単に、事業を行うという前に、どういう商品、製品、サービスを提供したいのかという、コンセプトが必須になっているということを、大倉さんの本を読んで、改めて感じました。

2022/5/28 No.1991

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