損益分岐点分析(2)
[要旨]
損益分岐点売上高は、損益分岐点売上高公式(B=F÷(1-(V÷S))で計算しますが、この式は、限界利益が固定費と等しくなる売上高と求めるという考え方を示しています。
[本文]
前回は、損益分岐点分析の概要と、損益分岐点売上高とはどういうものかということについて説明しました。今回は、損益分岐点売上高の求め方について説明します。先ず、結論から述べると、損益分岐点売上高(B)は、その会社の売上高(S)、変動費(V)と固定費(F)から計算できます。具体的には、B=F÷(1-(V÷S))という式(損益分岐点売上高公式)で計算します。
この数式は、一見すると複雑なように見えますが、実は簡単です。というのも、右辺の(1-(V÷S))とは、限界利益率(売上高に占める限界利益の割合)のことです。限界利益(M)は、売上高(S)と変動費(V)の差、すなわち、M=S-Vです。そして、売上高(S)に占める限界利益の割合、すなわち、限界利益率は、M÷Sで計算できます。この式に、M=S-Vを代入すると、(S-V)÷Sとなり、さらにそれを展開すると、前述の、(1-(V÷S))になります。
したがって、損益分岐点売上高公式は、B=F÷(M÷S)と、簡単になります。さらに、この式の両辺に、限界利益率(M÷S)を乗じると、B×(M÷S)=Fとなります。前回の記事で、損益分岐点売上高(B)とは、限界利益(M)と固定費(F)が等しくなる売上高(S)と説明しましたが、この式は、損益分岐点売上高(B)に限界利益率(M÷S)を乗じた値、すなわち、限界利益(M)が固定費(F)と等しいということを表しています。
したがって、冒頭で示した損益分岐点売上高公式は、限界利益(M)が固定費(F)と等しくなる売上高(=損益分岐点売上高(B))を示している式でもあり、そのような考え方から損益分岐点売上高(B)を計算する公式であるということがわかります。今回は、損益分岐点売上高公式について説明しましたが、次回は、この公式をどのように活用するかということについて説明します。