クレームを起こした部下にお礼を言う
[要旨]
会社で起きたことの最終的な責任は、社長にありますが、その根拠は、社長のポジションが最上位ということよりも、社長には、プロセス管理やリスク管理を行う役割があるからと言えます。
[本文]
経営コンサルタントの小山昇さんが社長を務める、武蔵野のブログに書かれていた、同社課長の野口さんの記事を読みました。野口さんは、コールセンター勤務のとき、顧客から苦情の電話を受け、それに応対したものの、顧客から許してもらえず、泣き出してしまったそうです。そこに上司の方が電話を代わってくれて、何とか顧客の怒りは収まったそうです。
ところが、その後、社長の小山さんから野口さんにハガキが届き、「クレームになったが、会社のルール通りに対応してくれてありがとう」とお礼が書かれており、とても驚いたということです。小山さんは、多くの経営者から「社長の教祖」として尊敬されている、一倉定さんの「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任だ」という言葉を信条にしているそうです。
この一倉さんの言葉は、社長の知らないところで起きたことでも、会社の従業員の起こしたことは、すべて社長の責任という意味であり、それくらい社長の責任は重いということは誰でも理解できると思います。だから、結果については責任を問わず、会社のルールにしたがって仕事をした野口さんを評価したのでしょう。
でも、小山さんのように、クレームを起こした部下に「ありがとう」とお礼を実際に言える人は少ないと思います。正直、私も、部下がクレームを起こしたとしたら、お礼を言える自信がありません。また、部下が失敗しても、怒らずにお礼を言うだけでよいということでもないでしょう。経営者は、常に事業のプロセスの改善に取り組み、それでもうまくいかないこともあることを前提に、前もって対策を講じておくことが前提です。
むしろ、「郵便ポストが赤い」責任が社長にあるというのは、会社の事業のプロセス管理やリスク管理の責任は、経営者にあるという意味なのでしょう。経営者は、単に、ポジションが高いだけで責任が重いのではなく、管理責任があるから責任が重いのだと、私は考えています。これは、言い換えれば、経営者は、マネジメント機能を遂行してこそ、責任をまっとうできるということだと思います。
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