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事業計画は数字にして検証する

[要旨]

事業構想や事業計画は、頭の中だけで考えていると、実現できると思ってしまいがちですが、数字にしてみると、達成がむずかしいということが分かる場合もあります。したがって、事業構想などは、頭の中だけで考えず、実際に数値に表して検討することが大切です。


[本文]

先日、配信したPodcast番組に、中小企業診断士の川崎朋子先生にご出演いただき、事業再構築補助金のご相談を受けたにもかかわらず、申請に至らなかった事例をお話いただきました。具体的には、事業再構築補助金の申請を希望していたにもかかわらず、考えていた事業計画が、売上高10%要件を満たさないことがわかり、申請を取りやめる会社の事例についてお話しいただきました。

売上高10%要件とは、補助対象の事業計画が、「新たな製品等(または、製造方法等)の売上高が、総売上高の10%以上となること」という要件で、これを達成できることを、事業計画書で示す必要があります。話がそれますが、数字や文章だけでつじつまを合わせ、計画上は達成できるものとして補助金を申請し、仮に、それが採択されたとしても、採択後に実際にそれに着手して、設備を導入した結果、事業が失敗してしまえば、補助金をもらえたとしても、自社の損失も出てしまいます。したがって、「審査に通りさえすればよい」という考え方で補助金を申請することは、お薦めできません。

話をもどすと、新しい製品の売上高を、自社の売上高の10%にするということは、容易なように思えて、なかなか難しいようです。というのは、売上高10%要件を満たすということは、実質的には、売上高を10%増やすということと、ほぼ、同じことだからです。確かに、新しい製品を開発し、かつ、補助金という支援を受けるとはいえ、やはり、コロナ禍の経営環境においては、その実現は、なかなか、難しいようです。

ところが、新たな事業構想を。頭の中だけで考えている経営者の方は、新製品を売り出せば、売上高10%要件は達成できそうだと感じてしまいがちだということです。でも、専門家がご相談を受けながら、それを数値にして検討していくと、社内の体制や、新製品の競争力、競合他社の状況などから、目標売上額の達成は難しそうだということに気づいていくということです。

今回の事例は、事業再構築補助金の申請にあたってのご相談内容として説明しましたが、これは、自社の事業改善や、銀行への融資交渉についてもあてはまることだと思います。事業構想や事業計画は、頭の中だけではなく、きちんと数字で表して、達成可能かを検討してみなければ、それは、本当に、画餅になってしまいかねません。

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