稼働中×民間施設×改修工事で勝つ
[要旨]
阪神佐藤興産は、(1)稼働中の、(2)民間施設の、(3)改修工事で強みを発揮し、その結果、価格、品質、工期で大手に負けないという成果を得ています。このように、市場を絞り込む手法をセグメンテーションといい、これによって自社製品の魅力が顧客に伝わりやすくなります。
[本文]
今回も、前回に引き続き、阪神佐藤興産の社長の、佐藤祐一郎さんのご著書、「小さくても勝てる!~行列のできる会社・人のつくり方」を読んで、私が気づいたことについて説明したいと思います。前回は、佐藤さんは、同社で働き始めたころ、若手に現場監督をさせるようにしたことにより、生産効率が高まり、事業が拡大すると同時に、同社が、施工会社→施工管理会社→営業会社(元請会社)へと事業形態の転換を行うことができたということを説明しました。
これに続いて、佐藤さんは、阪神佐藤興産は中小企業であっても、民間施設の改修工事の分野では、大手と遜色のない仕事ができるということを述べておられます。「民間の改修工事の分野で言えば、中小企業の当社でも、大手と遜色のない仕事ができます。営業中のショッピングセンター、患者さんが入院している病院、生産中の工場、今、稼働していて利用者が頻繁に出入りする建物-これらの改修工事を、事故なくスムーズに進める技術(が当社にはあります)。当社は、大規模なビルの新築工事はできませんが、改修工事では大手に負けません。
突然ですが、あなたは、インナーウェアを買う時、どこに行きますか?そう、ユニクロに行きますよね?百貨店には行かないと思います。百貨店で何でも売っているように、大手の建設会社は何でもできます。ビルも建てれば、道路も橋もダムもつくる。当社は、改修工事の専門業者です。改修工事のノウハウを何十年も磨いてきました。当社は、改修工事では、大手建設会社に、価格で、品質で、工期で負けません。ユニクロがインナーウェアで百貨店を圧倒しているように、です。大手と遜色ない仕事ができます」
阪神佐藤興産は、(1)稼働中の、(2)民間施設の、(3)改修工事で強みを発揮しています。その結果、価格、品質、工期で大手に負けないという成果を得ています。このように、いくつかの要因で市場を細分化することで、自社の優位性を発揮する手法を、セグメンテーションと言います。佐藤さんも例として挙げていますが、ユニクロは、カジュアルで低価格な衣類を販売することで、市場を絞り込んでいます。
しかし、市場を絞り込むことは、自社製品の対象とする顧客を減らすことになるのではないかと思われがちです。でも、市場を絞り込むことで、顧客から見た自社製品の魅力を高めることになるという利点があります。そこで、自社製品の魅力がなかなか顧客に伝わらないと考えている経営者の方は、阪神佐藤興産のようにセグメンテーションをしてみることで、顧客に自社製品の魅力が伝わりやすくなるのではないかと思います。
2023/12/27 No.2569