ゲーム時間と学力との因果関係は?-ゲーミフィケーションで学んだ効果-
ゲーム時間を巡る子ども達との格闘
2度目の休園期間は共働きの我が家にとっては大変な日々となった。子どもは家にいるものの、私達の日常は変わらない。Zoomミーティングはいつも通り行われるし、細かい作業中もお構いなしで、息子からの「つまんない!」との大きな声が聞こえてくる。
そんな時に、手っ取り早いのは「ちょっとだけならゲームやっていいから」と言って静かにしてもらうことだった。1日30分のつもりが、1時間、2時間とその時間は増えていき、休園期間が明けた今なお、そのリズムは取り戻せていない。
休日になると、朝からゲームをしたいと言い出し、外に遊びに行くことよりもゲームがどうしても頭から離れず不機嫌になるという状況。。なんとかしたいと思いながらも良い解決策は見当たらない。
追い打ちをかけるようにこんなデータを見つけてしまった。
令和3年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料
https://www.nier.go.jp/21chousakekkahoukoku/21summary.pdf
ゲーム時間と学力テストの平均正答率の関係を見ると、小学生、中学生ともに、ゲーム時間が伸びるに従って、正答率は低いという結果。ゲームを全くしない子は正答率が高い。家庭により事情は様々だろうが、計画性や自己コントロールという観点からも想像できる結果である。
では、強権的に我が家では金輪際ゲームは禁止にするかというほど、単純なものでもなく、一方では、オンラインゲーム、実は成績アップに貢献--豪研究というものもあるようだ。たしかに、「Minecraft」では子供たちが作る奇抜で緻密なお家の構造や、その世界で再現された理想の街などの発想には驚かされるし、学力に直接影響しなくても、彼らの創造性や計画性などを伸ばすには良いものだとも感じている。
ゲーミフィケーションを学力向上に取り入れる効果
教育業界でも、子供たちが熱中するゲームの要素を取り入れ、学力向上を目指す教材の開発が進められている。我が家が選択した「そろタッチ」もその一つである。
遊ぶように学ぶその秘密はこの記事に譲るとして、ここでは、ゲーミフィケーションを用いたアプリの計算力向上への効果に関する論文、実例を紹介したい。
そろタッチにも通じるこんな論文を見つけた。暗算を題材としたゲーミフィケーションを取り入れた教育アプリを制作し、学習前後で暗算テストの結果を比較するという実験である。(ちなみに、実験は2014年と8年前なので、膨大な学習データを元に進化し続けているそろタッチと比べると、アプリの完成度は高くないのではと想像している。)
計算能力向上を目的とするゲーミフィケーションの提案と評価
https://ci.nii.ac.jp/naid/170000086397/
結果として、2日という短い学習期間にも関わらず、平均して正答率は、2.6%、空欄率は4.4%、取り組んだ問題数は1.6問上昇したようだ。この結果を受けて、計算力向上に効果があったと結論づけている。
個人的に注目したのは、空欄率の上昇である。論文中には「ゲーミフィケーションを取り入れることで一見して難易度が高い問題は空欄とすることが多くなり、学習者は効率的に点数を稼げる問題と解けない問題を判断する力を養うことができた」と言及されている。
というのも、そろタッチ卒業生の娘の算数テストの答案用紙がまさにこの通りだったからである。合格点が100点中50点、様々な難易度の問題が並ぶ中で、確実に解ける問題から順番に解いて得点を重ね、難しい問題は後回しにするという方法を用いていた。結果、なんとか合格することができた。
親としてはもっと高い点数を望んでいるのは確かだが、効率的に点数をとっていることに驚いた。本人曰く、計算問題や、簡単な文章問題に関しては、それぞれ、そろタッチで言うところのJステージレベル、Sステージレベル、Uステージレベルと頭で振り分けているらしい。
いづれにしても、問題のレベルを振り分けて、確実なものから効率的に得点を重ねるのは、ある種、受験のテクニックとしても私も聞いたことがある。
そろタッチで計算能力が伸びたことは最大の収穫だが、意外なところにもその効果があったことが嬉しかった今日この頃である。
そして、子どものゲーム時間に口うるさく、時間を決めなさい、宿題終わってからだよと言っている私自身が、家族が寝静まったあとに、夜な夜なマリオカートで遊んでいることは絶対に言えない秘密である。。
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