アンチ虚無、退廃NG【詩】

やめたいんだけどね、彼女は呟く。

春に感じた暖かさが、冬まで続くとは思わない
されど全身にへばりつく冬の寒さを前に
あの春の懐かしさが湧いてくる
こいしくなり、さみしくなり
その精神の欠乏を、だれが補うというのだろう

あなたに会えたことは運命だというが
きっとこのままでは二人とも――
「ねえ、キレイなものはキレイなままで」
きっとこの人は知っている
幸せにはなれないと

奴の心臓を貫いたその血がナイフをながれ
やがて真っ白な薔薇に行き渡る
まあご覧
その花は全く美しい
たった一本の
空虚な花束をあなたにプレゼント

私は人生で、二つ、不義理を犯しました
たった、二つ
一つはあなたを愛したこと
一つはあなたを裏切ったこと
それが、晩年になっても私を苦しめ
絶えず、心のどんよりとした部分を
印象づけにきていたのです
私は、恐ろしい
自分には守るものがないのではないか
自分は真に孤独なのではないか
その事に気づかないように生きるので、
精一杯でした。

弱み一つ明かさずして
上辺だけのマウンティングに終始する
これが社会？
薄い馴れ合い好きな
ぺらっぺらな人の無分別さを
すかっすかな人の無秩序さを
これ以上語る語彙もない

罪の意識って
自分から何を守るために芽生えるんだ？
布団にこもって鬱鬱鬱うつ（ら）・うつ（ら）・うつ（ら）
３時　だから泣くんだよ
愛されたあなたへ
＜＜＜おつたえしたい＞＞＞
愛されなかったあなたへ
＜＜＜おつたえしたい＞＞＞
どうか、　　　　精神の空白を見出だせますように。

あなたを忘れさせてほしい
すぅーっと消えていくように
どうか、消えてしまえばいい
その残り香を追いかけたいから
あなたを覚えさせてほしい

私のエクリチュール
すべての表現
水面に映るレアリテ
すべての思想
現実に表れない
あなたの「あなた」を
水面に浮かべて
ゆっくり味わって
私はカトラリーだから

炉紀谷游

https://twitter.com/rokiya_yu