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【読書感想文】岡崎琢磨/珈琲店タレーランの事件簿8
**ネタバレを含みます**
主人公のアオヤマとバリスタの切間美星は前巻で付き合うことになったので、新たな章としてスタートするのだろうなと思ってワクワクしていた。
なんせ、最初の1ページ目から「ー 出会った!」という第1巻と同じ文章から始まる。
今回は京都コーヒーフェスティバルというコンテストの話になっている。
まずプロローグの前にLINEと思わしきメッセージのやりとりがあったり、ときっとカギとなるワードなんだろうな、と感じた。
そして「願いを叶えるマキアート」というのも重要な意味を持つ。
過去作で登場した「イシ・コーヒー」の石井とその知人でイベント業界にいる中田朝子という人物がメインとなる。
そのイベントの中で妨害工作が行われ、誰が犯人かを突き止めるというよくある話なのだが、
いきなりアオヤマが浮気をしたり、それがきっかけでアオヤマがタレーランをクビになったり、と大丈夫かなという展開になる。
しかもクビになった理由がイベントに主催者側として参加せずに自由に動けるため、という美星のやさしさからだったりするのだが、なかなかうまくいかない。
自由に動けるようになって途方に暮れている時に近くの平安神宮に行くシーンがあるのだが、ここで見た絵馬がキーワードとなっていく。
<何もかもが元どおりになりますように>
<今の彼氏と結婚できますように>
**さらにネタバレ**
マキアートはイタリア語で”染み”という意味らしい。
スタバとかで定着した単語だと思っているが、おしゃれな単語だ。
その黒い点である"染み"をここでは"嫉妬"と表現している。
畏敬の念を持っている相手には、嫉妬の感情を抱きやすいかもしれない。
アオヤマは美星に対して愛情もありつつ、嫉妬の感情も抱いていた。
自分と出会う前から理想のコーヒーの味を手にしていたからだ。
その嫉妬が時間と共に二人の関係を壊していった。
これは中田朝子と犯人の星後望との関係にも当てはまる。
絵馬とマキアート=嫉妬が大きなテーマになっている。
別れたアオヤマと美星のやり取りの中で
ー メッセージを取り消しました。
という冒頭の意味深なコメントも真相がわかるとすっきりする。