【月光荘・ソビエト絵画】 油彩・他 査定 鑑定 買取 致します
◎月光荘のソビエト絵画
月光荘画材店は、1917年（大正6年）に創業された東京・銀座の老舗画材店で、画材の販売のみならず、ギャラリーを併設し、多彩な芸術活動を展開してきました。1970年代には、ソビエト連邦（現ロシア）の絵画を日本に紹介する先駆的な役割を果たし、日本におけるソビエト絵画ブームの火付け役となりました。
1971年、月光荘は「'71現代ソビエト絵画展」を開催し、これが大きな話題を呼びました。この展覧会はシリーズ化され、1979年まで毎年開催されました。また、日本橋三越などの一流百貨店でも同様の展覧会が行われ、ソビエト絵画の人気は全国的な広がりを見せました。
月光荘がソビエト絵画を取り扱うようになった背景には、当時の社長であった平野氏の存在が大きかったと言われています。彼は共産圏との貿易ルートを持ち、1970年の大阪万博に向けてソ連側が絵画の展示即売会を希望していたこともあり、ソビエト絵画の取り扱いが実現しました。その後、社長は中村曜子氏に引き継がれ、絵画事業はさらに拡大し、1976年にはソ連への貿易事業部として株式会社ルナ・トレーディングを設立するなど、多角的な展開を見せました。
当時、月光荘で展示・販売されていたソビエト絵画は、現在でも美術市場で高い評価を受けています。特に、グリッツアイA.M.（グリッサイ）、チェイコフ、ヤブロンスカヤ、ロマス、ゲラシモフ、チトフ、ハンジャン、ベカリヤン、レイネル、パピキャン、クレイツ、ポノマリヨフ、ロマジン、ピメノフ、シーシコ、フォーミン、トトノフ（トゥトゥノフ）、シパチェフ、グルスチェンコ、トカチェフ兄弟、オーセニョフ、イゴシェフ、ストジャロフ、ヴァシリーエフ、ムィルニコフ、クークルニクスィ（クプリャノフ、クルィロフ、ソコロフ）、カルンローゼ、ロマス、チチカン、チェルニシェフ、ネメンスキー、スジャロフ、カマニンA.M.といった作家の作品は、希少価値が高く、高額で取引されることがあります。
これらの作品は、オークション市場でも注目されており、例えば、ベリヤエフの「ベルフニー島」やチトフの「故郷」といった作品が高値で落札されています。これらの作品の多くは、月光荘のシールが額縁の裏に貼られており、来歴を示す重要な証拠となっています。
月光荘が日本に紹介したソビエト絵画は、当時の日本の美術界に新風を吹き込み、多くの美術愛好家やコレクターに影響を与えました。その後の日本におけるロシア美術の受容や研究の発展にも寄与したと言えるでしょう。
現在でも、月光荘で取り扱われたソビエト絵画は、その歴史的背景や芸術的価値から高く評価されており、美術品市場での取引やコレクションの対象として注目されています。これらの作品を所有している場合、専門の美術商や買取業者に相談することで、適切な評価と取引が可能となります。
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