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谷川俊太郎さんの詩と出会えて

「これから朝の時間にみんなでこれを読みます」

小学校5年のときに、なぜか私のクラスだけ配られた詩集。担任の先生は、国語教育に熱心な先生だった。

私は、その時生まれて初めて「詩集」を手にとった。小学5年生では意味がわからないものも多かったけれど、中でも好きな詩があった。

谷川俊太郎さんの『朝のリレー』

カムチャッカの若者が
キリンの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている

谷川俊太郎 『朝のリレー』  

子どもながらに、いろんな朝を想像していた。
そして、大人になってからも霧がかった朝に歩いている時など、何度も何度もこの詩を思い出していた。


小学校の時私は、学校が長期休みになると祖父母のいる宮崎に行っていた記憶がある。


祖父母の家には、スヌーピーの原作漫画である『PENUTS』 が全巻あったので、読むのが楽しみだった。
(おかげで私は今もスヌーピーが大好き。)


後にPEN UTSを描いたのはチャールズ・M・シュルツさんで、その翻訳を長年手がけられていたのが、谷川俊太郎さんだったと知った。

大人になってからも谷川さんの詩に共感したり、時になぐさめれたりと寄り添ってもらった記憶がたくさんある。

谷川さんが紡ぐ優しい言葉と深いメッセージ。

本や絵本をひらけば、リズムが心地よく心に落ちていく。


今朝、谷川俊太郎さんの訃報を聞いた。
お会いしたこともないけれど、いなくなってしまう時がくるのが全く想像できない。

頭から離れないまま、職場に向かい自転車のペタルを漕いでいた。

頭の中で、『朝のリレー』がこだまする。

眠る前のひととき 耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴っている
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

谷川俊太郎 『朝のリレー』 

谷川俊太郎さんが生み出してきた詩の数々、作品の数々は、きっとバトンのように受け継がれていく。


今までの人生でたくさんの影響を与えて頂いた感謝を込めて。

謹んでご冥福をお祈りします。
2024年11月19日





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