「無期転換ルール」見直しが急浮上|迷想日誌
厚生労働省で大きな課題が浮上してきました。労契法上の「無期転換ルール」の再整備です。
同法附則によりますと、政府は施行後8年を経過した場合において、同法第18条の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え必要があると認めるときは、その結果に基づいて見直しを行うとされています。
平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約が通算対象となりますので、その時期が到来しているわけです。
見直し検討の対象として、無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保、無期転換前の雇止め問題、通算契約期間とクーリング期間、無期転換後の労働条件などとなっています。
まだ検討を開始したばかりで、どうなるか予想はできませんが、やはり雇止め対策はとくに重要となるのではないでしょうか。
ただし、雇止めも民事上の問題で厚労省が直接手を下せないところが、歯痒いところです。
労働者の「心境」を聞いたところ、無期転換後に「雇用不安が減り、定着を考えるようになった」「賃金・労働条件に対する満足感が高まった」「働くモチベーション(やる気)が高まった」との回答が上位にあり、企業・労働者双方にメリットが認められます。
これに対し、裁判例では無期転換申込み権発生を巧妙?に回避しようとする企業の行為がめだちます。
無期転換申込み権発生前に新たに(一方的に)不更新条項を設定して雇止めしたり、無期転換後の労働条件について不合理な「別段の定め」をすることにより無期転換申込みを抑制したり、無期転換申込み権の事前放棄を強要した例もあります。
無期転換ルールは、非正規の雇用を少しでも安定化させる目的で創設されました。
3割近くの起業で、無期転換者が生じていることを考えれば、一定の効果を果たしていますが、一方で、巧妙・悪質な無期転換回避策が採られているとすれば、脱法行為としてさらに何らかの対策が求められるでしょう。
ただ、当初、同じく問題視されていたクーリング期間に関しては、6%程度の企業で実施されていたに過ぎないので、トラブルとして表面化することも少なかったとみられます。
今後1年間ほどは、厚労省内における検討の行方に関心が寄せられます。
早ければ、次期通常国会に改正案が提出されるかもしれません。
動きがあり次第、週刊労働新聞に掲載していくつもりですので、注目してください。
労働新聞編集長 箱田 尊文
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