見出し画像

賃金のデジタル払いがようやく始動|気ままに労働雑感

厚生労働省は8月9日、昨年4月の改正労働基準法施行規則施行により解禁された賃金のデジタル払いについて、対応する資金移動業者としての厚生労働大臣の指定を初めて行いました。

指定事業者の第1号はPayPay(株)(提供サービス名:PayPay給与受取)です。
同社は、自社を含めたソフトバンクグループ10社の労働者を対象に先行的にサービスの提供を開始します。
グループ外の労働者については、年内にも開始する見込みです。
解禁当初は、早ければ同年夏以降に大臣の指定が行われるとみられていましたが、施行から1年4カ月余りが経過して、ようやく第1号のサービスが登場しました。

同社のサービスでは、労働者のPayPayアカウント内に、勤務先から給与振込を受ける口座や、受け取った給与をPayPay残高として保有する「PayPayマネーアカウント(給与受取)」などが設定されます「PayPayマネーアカウント(給与受取)」の受入れ上限額は20万円。
上限額を超えた場合には、超過分を労働者の指定口座に自動で送金します。企業がデジタル払いを利用するには、労使協定の締結が必要です。

厚労省では現在、3事業者について指定審査を行っているところです。
制度上、労働者の口座残高上限の設定金額や送金手数料は、指定事業者によって異なる可能性があります。
デジタル払いの活用を考えている企業や労働者にとっては、サービス内容を見比べてからサービスを選択できるよう、一定の安全性を備えた複数の移動事業者があまり間をあけずに指定されるのが望ましいでしょう。今後の指定動向に注目したいと思います。

労働新聞編集長

――――――――――――――――――――

Copyright(C)(株)労働新聞社 許可なく転載することを禁じます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?